仕事中に具合の悪いビジネスマン

加齢と共に日常的に悩まされる腰痛。ただ毎日漠然とした痛みを我慢していたり、急な痛みに対処することも多いかと思われますが、姿勢の悪さや筋力不足の他に、意外な病気が隠されている可能性があります。

今回は意外と多くの病気の症状として現れる「腰痛」について、その原因や緩和方法をお伝えします。






腰痛を緩和させる4つの方法!12種類の腰痛


1)腰痛の4つの原因と腰痛の種類

 (1)「骨」と「筋肉」の障害による5種類の痛み(器質的な痛み)

・椎間板ヘルニア

原因がはっきりしている腰痛の中で最も多いのが椎間板ヘルニアです。

椎間板ヘルニアとは、背骨の腰部の椎骨と椎骨の間でクッションの役割を果たしている軟骨(椎間板)が変性し、組織の一部が飛び出して付近にある神経を圧迫し、腰や足に激しい痛みやしびれなどの症状を起こします。

環境要因(姿勢・動作)や遺伝要因(もともとの体質・骨の形)、加齢が関係しています。

椎間板には、座る、立ったまま前屈みになるといった姿勢や動作でも体重の約2・5倍の圧力がかかるといわれ、こうしたことの繰り返しが、椎間板に変性をもたらし、椎間板へルニアに発展するものと考えられています。

 ・骨粗しょう症

骨の密度が少なくなってしまう病気で、圧倒的に女に多い病気です。閉経を迎える50歳前後から骨量が急激に減少し、60歳代では2人に1人、 70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症といわれています。これは、女性ホルモンのエストロゲンが骨の新陳代謝に関わっているからです。

ちょっと転んだり、負担がかかるだけで背骨が徐々につぶれること(圧迫骨折)があり、この際には強い痛みを伴います。(急性の痛み)

一度圧迫骨折を起こすと、さらに次の圧迫骨折を起こす危険性が高まります。

こうして圧迫骨折が重なることで背中や腰が曲がると、腰の痛みも起こります。

 ・腰椎分離症

中学生や高校生など、成長期の10代に多く発症し、スポーツで腰を何度も捻ったり、重たい物を何度も持つなどの、1回ではなく繰り返し腰に負担をかけることで腰椎分離症になると言われています。一般の方だと5%、スポーツ選手は30~40%が腰椎分離症だと言われています。

 ・筋筋膜性腰痛

腰周辺の筋肉疲労による腰痛のことを言います。

腰を使う作業や、腰に負担をかける姿勢や動作を続けることで、腰の筋肉が損傷して炎症を起こしたり、過度に緊張した状態になって痛みが発生します。

 ・腰部脊柱管狭窄症

歩き始めはとくに症状が強いわけではないのですが、しばらく歩くと脚が痛くなったり、しびれたり、こわばったりして歩くことができなくなる状態を指します。しゃがんだり座ったりすると症状はすぐになくなり、また歩いたり立ったりできるのが特徴です。

原因は加齢変化ですが、生まれつき脊柱管が狭い人や椎弓や椎間関節の形状が異なる人に多くみられます。

 ・変形性腰椎症

朝起床時などの動作開始時に強く痛みを感じることが多く、動いているうちに軽減します。長時間の同一姿勢でも痛みは増強します。腰痛の部位は腰部全体に感じる場合や、背骨の周囲であったりとさまざまです。また、臀部や大腿後面まで痛みを感じることもあります。とくに臀部の痛みは高頻度に見られます。

(2)神経の障害による痛み(神経痛)

 ・坐骨神経痛

椎間板ヘルニアなどの腰の障害の影響で坐骨神経が圧迫を受けたり、圧迫が続いて炎症を起こすことで生じる腰痛の症状を「坐骨神経痛」と呼び、お尻や足の痛み・しびれが見まれます。

Manipulative nurses have confirmed a woman's joint

(3)精神的ストレスによる痛み(非器質的な痛み)

・心因性腰痛症・非器質性腰痛

腰まわりの骨や椎間板などの組織に異常が見られず、明らかな原因を特定できないものが腰痛全体の85%を占めています。

こうした原因不明の腰痛のことを医学的に非特異的腰痛と言い、近年の研究結果から、非特異的腰痛の3分の2(腰痛全体の約半分)にはストレス、不安、鬱などの心理・社会的要因が関与していることが分かっています。

からだの組織に損傷が起こった時、痛みの信号は神経を伝って脳に伝わりますが、全ての人間の脳にはこの痛みの信号を抑制するシステムが備わっています。

このシステムを「下行性疼痛抑制系」といい、普段の生活で疲労性の痛みが発生した時に、これをブロックして痛みを和らげてくれます。

健康な人はこのシステムが正常に機能してくれているおかげで小さな痛みは感じずに済み、ある程度大きな痛みでも生活に支障がない程度に抑えられています。

ところが長期間ストレスや不安のある状態が続くと、この痛みを抑えるシステムがうまく働かなくなり、痛みを実際以上に強く感じるようになります。

 普段なら感じることのない痛みが現れるようになり、腰がつかれた時に見られる腰のだるさや重さが、大きな痛みに変わったりします。

また、ストレスの蓄積によって、身体の機能をコントロールする「自律神経」のバランスの崩れも起こり、自律神経が過敏になると痛みを感じるセンサーが強く働くようになって少しの症状でも強い痛みを感じるようになります。

(4)内臓の病気による痛み

・子宮や卵巣の異常

内臓疾患は近い部分にある神経を刺激するのですが、子宮の場合は下腹部痛と腰痛が同時にくることが多く、特に子宮筋腫などの場合には下腹部痛が断続的に起こる場合があります。腰痛以外の場所の痛みに注意が必要です。

・月経困難症

生理時に、強い腰痛や下腹部の痛み、不快感などがあり、治療が必要なほど症状がひどい場合でも生理が数日経過したり、生理が終わるとこれらの症状も軽減若しくは、なくなります。

・妊娠による腰痛

妊娠中の腰痛にはお腹が大きくなることによる姿勢の変化のみならず、いくつかある女性ホルモンの中で、生理の前や妊娠3ヶ月を過ぎると分泌される『リラキシン』と言うホルモンが原因の腰痛も見られます。

リラキシンは関節を緩める働きがあり、赤ちゃんが骨盤を通るときに、骨盤の恥骨結合という部分を広めてくれる役割をしてくれます。

リラキシンの働きによって恥骨結合部分が緩められることによって、その周囲の筋肉や関節に、これまでかかっていなかった負荷がかかるようになります。

これが妊娠中の腰痛の原因の1つになります。こうしたことが原因で、筋肉痛や変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなどになる可能性も高くなります。

Young attractive doctor shaking hand of his patient

 ・他、内臓の病気による特徴

(1)安静にしていても痛む。更にどんな姿勢をとっても痛みが楽にならない

(2)夜間、就寝中でも痛む

(3)腰痛以外に、発熱、寒け、吐き気・嘔吐、だるさ、腹痛、排尿や排便の異常といった内科的症状がある

(4)1週間以上たっても痛みが全く軽くならない(もしくは徐々にひどくなる)

(5)食事に関連して痛みが発生したり強まったりする

(6)排尿時に痛みが発生したり強まったりする。

このような症状が続く場合は、躊躇せず医師に相談してください。

2)腰痛を緩和させる4つのポイント

(1)安静

激痛で思うように動けないときは、無理をしてストレッチや体操はせず、痛みがひくまで安静にしましょう。

少しずつ動けるようになったら、なるべく元の生活に戻して体を動かした方が治りが早くなるとの研究結果が出ています。

(2)入浴

入浴することで、血行がよくなり凝り固まった筋肉をほぐします。また、38度程度の湯船にゆっくり浸かる事でリラックス効果があります。

(3)急性の痛みには「冷やす」

突発的に起こった腰痛は、何らかの原因により筋肉が炎症を起こしているので冷やすことで炎症を抑えることができます。

(4)ストレッチ

慢性的な痛みには腰周りの血行を良くするストレッチが効果的です。椅子に座って10秒間思い切り腰を前に突き出します。

今度は10秒間腰を引き、背中を丸めてやや前屈みの姿勢にします。この2つのポーズを5回ずつ繰り返すことで、痛みを和らげることができます。

3)腰痛への3つの予防法

(1)姿勢を変える

悪い姿勢は腰に負担をかける為、腰痛の原因になります。一度治った腰痛も日常の姿勢が悪いことで再び腰痛になってしまいます。

仕事や作業などで長時間座りっぱなし立ちっぱなしが続く場合は、休憩をうまくとりいれながら軽いストレッチをすると良いでしょう。

(2)減量

肥満が腰痛の原因ともなりますが、無理なダイエットは骨粗しょう症を引き起こす危険もあるため、運動で体重を軽減させ、筋肉をつけることで腰痛の予防につながります。

(3)中腰で物を持たない

これは腰に負担がかかりすぎて、ギックリ腰をおこしやすくなります。

重いものを持つときは、物と体を出来るだけ密着させ、体全体で持つことを意識させながら行うと良いでしょう。体重70Kgの人の場合、軽くおじぎをした状態で腰には150Kgの力がかかるのだそうです。

group of happy doctors meeting at hospital office

4)腰痛の施術のポイント

特に原因がなく、2~3日程度で痛みが治まるようでしたら筋肉疲労や軽く捻った程度のことで自宅で安静にしていれば大丈夫ですが、

それ以上痛みが続くならば、適切な治療が必要になります。

(1)まずは整形外科

レントゲンで骨の状態を調べ、原因を突き止めることが治療への第一歩です。骨の異常やヘルニアの場合には、レントゲンでしか見ることができません。

また、整形外科では痛みを取り除くための注射・投薬・手術が可能です。急性の痛みや長引く痛みの場合には、まず整形外科へ受診しましょう。

(2)整骨院・接骨院

柔道整復師という国家資格者が施術します。医師の同意のもと、打撲やねん挫、挫傷などの治療を行います。

慢性腰痛の場合保険の適応外となり、自費治療になることが多いようです。

(3)整体院・カイロプラクティック・マッサージ

民間の治療院です。慢性の腰痛で、コリや血行不良が原因の場合には一時的に楽にしてくれますが、根本的な腰痛の治療はできません。

自分に合った施術内容で、気分転換やリフレッシュのために活用するとよいでしょう。






今回のまとめ

1)腰痛には主に4つの原因がある

2)慣れてしまった腰痛にも思わぬ病気が隠れていることがある

3)腰痛を緩和するには慢性的な痛みは「温」急性的な痛みには「冷」

4)腰痛の予防には日常的な姿勢の矯正と、急激な動作に気をつける

5)腰痛が酷くなったと感じたらまずは整形外科で原因を特定し、症状にあった治療法を見つける

国民病とも呼ばれる程ポピュラーな「腰痛」ですが、思わぬ病気の症状の場合もあります。自分で判断するのではなく、痛みが続いたりするようであれば、医療機関へ受診しましょう。

また、腰痛グッズなどを活用し、日頃の生活の中でも予防を心がけるとよいかもしれません。