背骨の模型について話し合うドクター

脊椎分離症は、若い人の腰痛の原因にもなるもので、痛みをガマンして悪化させてしまうと、脊椎すべり症という状態に進行して治りにくくなるおそれもあります。

今回は脊椎分離症の3つの症状と6つの治療法についてご紹介します。






脊椎分離症の3つの症状!6つの治療法とは


1)脊椎分離症の特徴

(1)3つの突起物で成り立っている脊椎

脊椎とは、椎骨という短い骨が連なっている背骨のことで、骨盤につながりヒトの身体を支えているものです。脊椎分離症を起こしやすいのは腰椎(腰骨)で、これを上から見るとクラゲのようで、前方の丸い部分と後方の3つの突起部がある形をしています。

前方の丸い部分を椎体といい、円柱形で椎間板というクッションをはさんで体重を支えています。後方の3つの突起は、横突起と棘(きょく)突起で、背中のコリコリと触れる部分が棘突起です。

椎骨の後方の横突起などは椎骨の関節を形成していて、背中を丸めたり伸ばしたりという動きを可能にしているものです。

(2)脊椎分離症とは

脊椎分離症とは、椎体の後方にある横突起などの部分が「骨折」により離れてしまい、関節としての役割ができない状態です。

脊椎分離症は比較的若い年齢で起こりますが、痛みなどの症状が中高年になってから出る場合もあります。

2)脊椎分離症の3つの症状

実は、脊椎分離症だけでは痛みが無い場合もあります。
痛みが出てくるのは、腰や周囲の筋肉が凝り固まったり、骨盤のバランスが悪くなったりするためです。

(1)腰部の鈍痛・違和感

朝起きた時に鈍痛や違和感があり、少し動いていると痛みが軽くなってくる場合があります。長時間立っていたり座っていたりなど、同じ姿勢でいても鈍痛が起こります。

(2)慢性的腰痛

中腰になる・背中を後ろに反らせる・腰を横に曲げるなどで痛みが出ます。

(3)臀部痛・大腿部痛

痛みは腰だけでなく、臀部(おしり)や大腿部(ふともも)の後ろ側におよぶ場合もあります。

3)脊椎分離症の3つの原因

(1)学童期・学生期の激しい運動

小学生・中学生の頃からスポーツをして、腰を曲げる・伸ばす・捻るという運動を繰り返していると、腰椎の突起部に小さな亀裂が入り、やがて疲労骨折をおこすという説があります。

(2)生まれつきの骨の形成不全

生まれつき骨の形成が不充分で、関節が離れやすい人がいます。

(3)中高年期の筋力低下

少年期や若い頃に熱心にスポーツをしていた人が、中高年になって筋力が低下して症状が出る場合があります。

Stethoscope in hands

4)脊椎分離症の6つの治療法

脊椎分離症の痛みを我慢して運動を続けたり無理をしたりしていると、脊椎すべり症に進行してしまう場合があります。脊椎分離症の10〜20%が、脊椎すべり症に進行してしまうというデータもあります。

(1)安静

脊椎分離症は脊椎の骨折により起こることが多いので、痛みがある時には安静が大切です。小学・中学・高校生でスポーツをしていて腰痛が出た場合は、無理をせずに早期に安静にして痛みを取る必要があります。

若い人でスポーツをしていて腰痛が出るのは、チームの中心になるような人が多く、少し痛みがあっても練習を休むとレギュラーになれないとか、練習を休むとチームに迷惑がかかるからと言って、安静治療することが遅れる場合があります。

そうすると、痛みを我慢する期間が長くなり腰椎すべり症に進行してしまうばかりでなく、精神的にもダメージを受けてしまう場合があります。

整形外科に受診して「脊椎分離症」と診断されて、「痛みと付き合うしかない」「治らない」などと言われ、安静治療することを諦めてしまうケースもあります。

脊椎分離症の安静治療は、「積極的治療」と考えるほうが回復の早道です。

(2)コルセット

安静治療の補助として、コルセットをつけて生活します。あくまでも日常生活の補助なので、コルセットを着けてのスポーツはおすすめしません。

(3)鎮痛剤

痛みが長期におよぶと、精神的なダメージが大きくなります。

これは、脊椎分離症が治っても「腰痛」を感じる原因になりますので、痛みが強い場合には痛み止めを飲んで、安静にしましょう。

(4)神経ブロック

痛みが激しい場合には、整形外科で神経ブロックの注射を受けることもできます。

(5)手術

脊椎分離症だけで手術に至ることは少ないですが、脊椎すべり症に進行して歩行障害や排泄障害が出てしまった場合には、手術が必要になります。

(6)筋肉の緊張をほぐす

脊椎分離症で腰・おしり・太ももの後ろに痛みが出るのは、その部位の筋肉と筋膜が固くなっているためです。筋肉と筋膜のコリをほぐして、筋肉と筋膜を柔軟にしましょう。

5)脊椎分離症の5つの予防のポイント

(1)正しい姿勢・正しい歩き方

立つ・座るという姿勢が正しいとは、骨盤がまっすぐになり背骨のカーブが自然な形になるということです。顎が前に出たり猫背になったりしないようにしましょう。

歩く時にも、頭の頂点に糸が着いていてそれに引っ張られているような形のまま、手足をしっかりと振り・伸ばして歩きます。

低い位置にあるものを持ち上げる時には、背中を丸めるのではなく、膝を曲げて背すじを伸ばしたまま膝から立ち上がるようにしましょう。

(2)腹筋・背筋・インナーマッスルを鍛える

自己流の腹筋運動や背筋運動は、さらに腰を痛める原因となり危険です。理学療法士の指示を受けることや、脊椎分離症の知識がある整体師にかかることをおすすめします。

(3)股関節周囲の筋肉のバランスを保つ

体幹・股関節・大腿部(太もも)の筋肉を柔軟にしてバランスを保ちましょう。

(4)水中での歩行など

腰に体重がかからずに運動ができるので、少しの痛みが残っていてもできます。ただし、クロールやバタフライなどの泳ぎ方は、腰に負担がかかるのでおすすめしません。

(5)適正な体重の維持

体重が重すぎると、腰にかかる負担も大きくなりますので、背中・腰回り・内蔵の脂肪を減らして腰の負担を軽くしましょう。






今回のまとめ

1)脊椎分離症とは、椎体の後方にある横突起などの部分が「骨折」により離れてしまう状態です。

2)脊椎分離症の症状は、鈍痛・違和感・慢性的腰痛・臀部痛・大腿部痛です

3)脊椎分離症の原因は、青少年期の激しい運動・生まれつきの骨の形成不全・中高年期の筋力低下です。

4)脊椎分離症の治療法は、安静・コルセット・鎮痛・神経ブロック・手術・筋肉の緊張をほぐすことです。

5)脊椎分離症の5つの予防のポイントは、正しい姿勢を保つ・インナーマッスルを鍛える・股関節周囲の筋肉のバランスを保つ・水中運動・適正な体重の維持です。

以上が今回の記事の内容となります。今回の記事で脊椎分離症の腰痛で悩まれている方のお役に立てれば幸いです。