患者に問診を行う男性の医者

しりもちをついてから尾てい骨が痛い。転んだわけでもないのに、尾てい骨が痛い気がする。座っていると尾てい骨が痛くなる。このような場合、病院へ行くべきなのでしょうか。痛む場所が場所だけに、なかなか病院へは行きにくいですよね。今回は、尾てい骨が痛い時に考えられる原因対策についてご紹介します。



尾てい骨が痛い・・考えられる9つの原因と対処方法とは


1)尾てい骨とは

尾てい骨は尾骨とも仙骨ともいわれ、動物ではしっぽにあたる部分ですが、ヒトが進化する中で退化した尾椎が3~6個一塊になったもので、痕跡器官の1つです。

2)何が原因?尾てい骨が痛い9つの原因と対策

(1)尾てい骨の打撲

しりもちをついたり、転んで尾てい骨を打って痛い場合、尾てい骨周囲の色が変わっているぐらいで済めば、自然に痛みもなくなります。しかし、スノーボードやスケートなどで何度も打っていると、尾てい骨が曲がることがあります。押すと痛む程度であれば良いのですが、まがった尾てい骨が肛門を圧迫すると便秘の原因になります。また、仙骨までゆがむと肩こりや腰痛の原因になります。

【対策法】

湿布や消炎鎮痛剤での治療が中心です。痛みがひかない場合は病院へ行きましょう。自分では打撲と思っていても骨折している可能性があります。病院で画像診断をしてもらいましょう。

(2)尾てい骨骨折またはヒビ

転んで尾てい骨を骨折すると、歩行時や座っている時はなんともありませんが、排尿できないような痛みや、うつ伏せになると痛みます。

【対策法】

安静と湿布、消炎鎮痛剤での治療が中心です。骨折やヒビが入ったからといって、腕などのように固定することはありません。尾てい骨を骨折した影響で骨盤がゆがむことがありますので、完治したら骨盤矯正などの施術を受けると良いでしょう。

(3)妊娠

妊娠中に痛む場合は2つの理由が考えられます。1つは女性ホルモンの卵胞ホルモンの影響です。卵胞ホルモンは妊娠3ヶ月後になると分泌されるようになり、骨盤の靭帯を緩ませます。この影響で骨盤や尾てい骨に痛みがでるようになります。2つ目は坐骨神経痛です。胎児が成長するに従い、子宮が大きくなると骨盤や腰椎を圧迫し始めます。その影響で筋肉が硬くなり坐骨神経痛が生じます。

【対策法】

対策は特にありません。出産後には痛みはなくなりますが、痛みがひどい場合は医師に相談のうえ、骨盤を安定させるベルトをつけたり、座る時にクッションを使うなどして痛みを軽減させましょう。

(4)産後に痛む場合

産後に痛む場合は出産時と産後に原因があります。出産時が原因の場合、出産時には骨盤が最大限に広がります。骨盤では胎児の体重をささえるため、骨盤周囲の筋肉に負担がかかります。また、胎児が産道を通る際にも、尾てい骨は大きく押され、周囲の筋肉や靭帯が傷みます。産後に痛む場合は、産後3週間は妊娠前の身体に戻ろうとしている時期のため、骨盤や骨盤低にある尾てい骨に痛みがおこることがあります。また、身体が戻り切れていない時期に授乳などで長時間座っていると、痛みが生じやすいといわれています。

【対策法】

半年から1年後には自然に痛みが消えますが、1年経っても痛みが消えない場合は医師に相談しましょう。

妊婦に問診を行うドクター

(5)筋力の衰えや骨盤の歪み

座っていると尾てい骨がジンジン痛むというのは、筋力の衰えや骨盤のゆがみから正しい姿勢で座っていないためです。筋力が衰えたり、骨盤がゆがんでいると座っている時に、骨盤が立った状態ではなく斜めになり、いわゆる「パンダ座り」になります。パンダ座りになると、尾てい骨に身体の重さがのるため、尾てい骨が痛くなります。

【対策法】

正しい姿勢で座ることが1番の対策です。骨盤が倒れないように意識して座りましょう。しかし、背筋や腹筋が衰えていると、正しい姿勢を維持することができません。毎日のラジオ体操やウォーキングで少しづつ筋力をつけましょう。

(6)腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症

尾てい骨の痛みに加え、腰痛がある場合は腰の病気が原因の場合があります。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の可能性が高いですが、他の病気の可能性もあります。

【対策法】

椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は、症状が軽ければ薬物治療や理学療法などでの治療が可能な病気です。早めに病院を受診しましょう。

(7)尾骨神経痛(腰下肢神経痛)

何もしていないのに、何日も尾てい骨が痛かったり、排便をしている時に強い痛みがある場合は神経痛の可能性があります。腰下肢神経痛の場合は骨盤から会陰部や臀部まで痛みます。

【対策法】

神経痛がおこっている原因として、癌や膠原病、骨粗鬆などの病気が隠れている可能性があります。しつこい尾てい骨痛がある場合は早めに病院を受診しましょう。

(8)馬尾腫瘍などの腫瘍

馬尾腫瘍は脊髄円錐部より尾側に発生する硬膜内髄外腫瘍のことです。初期は腰痛が多く、特徴として夜間に痛むまたは臥位時の痛みです。進行すると歩行時の痛みや排尿痛が生じます。また、脊索腫の発症はまれですが、がん性で尾てい骨や仙骨に生じます。症状は継続した痛みが特徴で、視神経に向かう神経を障害します。

【対策法】

しつこい尾てい骨痛がある場合は早めに病院を受診しましょう。馬尾腫瘍も脊索腫は外科的切除で治癒します。

(9)線維筋痛症

座っていても寝ていても尾てい骨が痛い。腰の病気もなく、画像診断や血液検査でも異常がない場合は、繊維筋痛症の可能性があります。背中のはり、お尻や臀部のしびれ、ドライアイやドライマウスの症状が伴います。

【対策法】

末梢性神経障害性疼痛薬リリカの服用で症状が改善することがわかっています。専門医による適切な治療により、日常生活を維持することができます。しかし、病気の知識を十分に持っている医師が少ない病気です。線維筋痛症学会のホームページなどで線維筋痛症認定医や、専門医のいる医療機関を探してみてください。



今回のまとめ

1)尾てい骨は痕跡器官の1つ

2)尾てい骨が痛い原因と対策は多岐にわたるため自己判断せず、医師の診断が必要