背骨を模型で解説する女性の医者

実際に厚生労働省が毎年行っている『国民生活基礎調査』の平成24年調査で、驚くべき結果が出ています。

病気やケガなどで自覚症状のある人の割合を示す「有訴者率」を調査したところ、なんと男性で「腰痛」が第1位、女性は第2位となっています。しかもこの結果は、1986年の調査開始からほとんど変わっていません。

また日本国内で実施した別の調査では、人生で腰痛を一度でも経験したことのある人の割合は、ナント8割という結果が出ています。この日本人を悩ませる「腰痛」の正体、今回は腰のヘルニアの原因治療法予防法をお伝えします。






腰のヘルニア3つの症状!4つの治療法とは


1)ヘルニアとは何か

背骨は頚椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個から構成されています。椎骨と椎骨の間に「椎間板」があります。「椎間板」は軟骨なのですが、繊維輪という固い軟骨で囲われ、その中に柔らかい髄核(ずいかく)という軟骨が入っています。

その髄核の一部が繊維輪を破って飛び出し、神経を圧迫した状態が「椎間板ヘルニア」と呼ばれるものです。

2)腰の2種類のヘルニア 

正式には「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」と呼ばれていて、またその中でも下記の通り2種類あげられます。

(1)脱出型椎間板ヘルニア 

 繊維輪は固い軟骨でできていますが、無理をさせるとヒビが入ってしまいます。急激な痛みを伴うのが特徴です。

(2)膨隆型(ぼうりゅうがた)椎間板ヘルニア

圧迫に耐えかねた繊維輪の一部が変形して突出します。それが脊髄の神経を圧迫し、痛みが出ます。 長期化しますが、圧迫量は(1)の脱出型より少ない為、症状が弱いという特徴があります。

3)腰のヘルニアの3つの症状

(1)痛み

ヘルニアを起こしている腰椎そのものより、その下の臀部~大腿~下肢へと痛みが移っていくケースが90%以上です。

一般的に言われている「坐骨神経痛」がこれにあたります。

(2)しびれ感

足の親指や小指がしびれ、曲げ伸ばしする力は弱くなります。筋力も低下し、悪化すると歩行困難、麻痺に至ることもあります。

(3)感覚が鈍る

初期症状から悪化すると、感覚が失われ、触っても感じない、足が冷たくなる、などの症状が見られます。また、自分で尿意がわからないなど、下半身の感覚が鈍ってしまいます。

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4)腰のヘルニアの4つの原因

(1)加齢

これは避けようがありません。しかも椎間板は20歳くらいから老化し始めますので、「私はまだ若いから」と安心は禁物です。

(2)骨粗鬆症

骨を形成するカルシウムなどが不足した結果、骨が弱くスカスカになってしまいます。骨があまりに弱くなると、ヒビが入るだけでなく、一挙につぶれてしまう危険性もあります。

日本国内の65歳以上の女性では半数以上が骨粗鬆症と考えられていますので、閉経期を過ぎた女性はまずチェックをおすすめします。

(3)骨盤や背骨のずれ

 悪い姿勢を長く続けていると、背骨がひずんでしまい、常に圧力がかかります。やがてその箇所の繊維輪が突出し、膨脹型ヘルニアを起こす原因となります。

(4)ふとしたはずみ

健康な椎間板ではヘルニアになりません。上記でご紹介したような、不健康な状態であることが殆どです。

ただ、重いものを急に持ち上げたり、無理な体勢で腰をひねったりすると、そのはずみでヒビが入り、ヘルニアを起こすことになりかねません。

5)腰のヘルニアの4つの治療法

(1)鎮痛剤

 内服・座薬の2種類ですが、症状に寄っては、病院で筋弛緩剤やステロイド剤を処方されることもあります。

(2)コルセット

 痛みが強い時だけ装着するのが正しい使い方です。着けっぱなしにしていると腹筋力が低下し、返って逆効果なので、コルセットには頼りすぎないようにご注意下さい。

(3)注射

 神経の周りに痛みや炎症を抑える薬を注射する、ブロック注射やステロイド注射があります。

(4)2つの手術方法

 髄核減圧手術

 圧力を分散させ、結果的に圧力で硬くなった髄核を柔らかくすることによって、神経の圧迫を減らします。

 髄核摘出系手術

要するに、はみ出した髄核を取ってしまおうという手術です。髄核減圧系から見ると効果が高い替わりに、大掛かりな手術になり、数週間の入院を要求されることになります。

どちらがいいかは、担当医との話し合いになるでしょう。この際、セカンドオピニオンを受けることも大切です。重大な決断ですので、お医者様に気兼ねする必要はありません。

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6)腰のヘルニアの2つの予後

(1)保存療法

上記にあげた5)の(1)〜(3)は「保存療法」と呼ばれるものです。手術という選択肢は、症状が進んでいるときの最終手段です。

腰のヘルニアに関しては、通常は症状を和らげるための薬や、安静にする、生活習慣を整える,などの保存療法で快方に向かいます。とくに(3)のブロック注射は効果が高く、効果が切れた後も、当初より痛まなくなるのが特徴です。

(2)手術療法

術後は痛みから解放されて安堵されるでしょう。が、まずはできるだけ早く退院し、再発を防ぐことが先決です。リハビリの程度によっても、左右されることをお忘れなく。

少なくとも、毎日朝晩の2回、筋肉トレーニングやストレッチ体操など少なくとも15分ずつ継続して行って下さい。

7)腰のヘルニアの3つの予防ポイント

(1)正しい姿勢を身につける

人間の体には、「本来こうあるべきである」という理想的な姿勢があります。しかし、姿勢の悪さが長年積み重なり、椎間板が疲労した結果、ヘルニアを発症させる原因を作ってしまいます。

では「正しい姿勢」とは何でしょうか。ポイントは2点です。

1:横から見てS字を描いている状態、つまりはお腹の後ろの腰椎が少し前に出て、首の骨である頚椎を少し後方に引っ込めた体勢です。

2:後方から背骨を見ると、真っ直ぐになっていて、両肩・骨盤が同じ高さにあるのが理想形です。

(2)食事に気を付ける

太りすぎは、体重による負担からヘルニアを起こしやすくなります。適正体重を保つ努力をしましょう。常に食事は腹7分目程度に抑えて下さい。

ゆっくり噛んで食べることを意識すれば、少量でも満腹感を感じるようになります。口の中で30秒噛み続けてから飲み込む、という癖をつけるといいですね。

ただ、無茶なダイエットは、カルシウムが不足し、逆効果ですので、必要な栄養素はきちんとバランスよく摂って下さい。

(3)日常動作に気を付ける

「日常動作」というところがポイントなのです。なぜなら、「筋肉が油断している」からです。脳が「このぐらいかな?」と判断して筋肉をコントロールするわけですが、思った以上に重量だった場合、

腰椎にダメージを与えてしまいます。同様に、急に体をねじったり、普段使わない部位を使う場合も、筋肉が油断していることが多いので要注意です!

普段の「何気ない身体の使い方」や、「食生活」に気を付けていれば、かなり高い確率で避けられそうな「腰椎椎間板ヘルニア」。日々のちょっとした注意心の積み重ねですね。






今回のまとめ

1)ヘルニアとは何か

2)腰の2つのヘルニアとは

3)腰のヘルニアの3つの症状

4)腰のヘルニアの4つの原因

5)腰のヘルニアの4つの治療法

6)腰のヘルニアの2つの予後とは

7)腰のヘルニアの3つの予防ポイント