タブレットを使うドクター

ヘルニアとは突出した状態のことを指しますが、幾つかの種類が存在します。このヘルニアは患部の痛みだけでなく、他にも症状があります。

今回はヘルニアの症状、治療方法、また治療後のリハビリテーションについてお伝えをします。






ヘルニアの5つの手術法!3種類のリハビリとは


1)ヘルニアとは何か

「ヘルニア」とは、本来あるべき部位から脱出・突出した状態を指します。例えば、椎間板ヘルニアは、椎間板が突出してしまった状態のことを言います。

椎間板は、脊椎を構成する椎体という骨の一つひとつの間にあり、骨どうしがこすれ合わないようにクッションの役目をしています。

この椎間板が変性して潰れ、一部分が突き出るかあるいはその位置から飛び出すなどして、神経を圧迫し、痛みや痺れ、感覚の麻痺などの症状を引き起こします。

2)ヘルニアの2つの種類

(1)脱出型椎間板ヘルニア

椎間板は、柔らかい髄核を、硬い繊維輪で包んで保護する形になっています。繊維輪は硬い事は硬いのですが、あまり無理をさせるとヒビが入ることがあります。

そのヒビから髄核が外に脱出してしまったものを脱出型と呼びます。大抵はヒビが入った瞬間に脱出も起こるので、急激な痛みなどを伴うのが特徴ですが、膨隆型に比べると症状の改善が早いと言われています。

(2)膨隆型椎間板ヘルニア

同じ姿勢でいると、腰椎はいつも同じ重量を受け続けます。すると、髄核は上からの重量で押され続け、繊維輪に圧迫を加えます。やがて、圧迫に耐えかねた繊維輪の一部が変形して突出することがあります。

この突出部分が脊髄の神経を圧迫することによって、痛みなどの症状がでてきます。これを膨隆型と呼びます。

繊維輪そのものが変形してしまうので、長期化することが多いのですが、圧迫量は脱出型より少ないので症状が弱い特徴があります。

3)ヘルニアの3つの症状

(1)痛み

ヘルニアを起こしている腰椎よりも、その下であるお尻から足にかけて痛むことが多くみられます。これは、圧迫される神経のうち坐骨神経を圧迫することが多いためで、まとめて坐骨神経痛といいます。

腰椎椎間板ヘルニアでは必ずでは無いものの、大半にこの坐骨神経痛が見られます。

痛みは転げまわるほどの激痛から、ジクジクと痛むものまで幅広くあります。脱出型では痛みが強い傾向が見られます。

そのほかの神経根を圧迫している場合は、激痛と言うよりも下で紹介するしびれ、感覚が鈍るというような症状のほうがでやすくなります。

(2)しびれ

痛みを伴う場合もありますが、そこまで行かない場合はしびれとして感じることがあります。

これといった理由も無いのにいつもしびれているような感覚がある場合は、運動神経を圧迫されている可能性があります。さらに悪化すると歩行困難、マヒまで至ることがあります。

(3)感覚が鈍る

症状が悪化すると、感覚が失われるになります。触っても感覚がない、体温の調節がうまく行かないので足が冷たい、または自分でトイレに行きたいかどうかが解らなくなるなど、下半身に関する全ての感覚が鈍ります。

ファイルを開く女性の医者

4)ヘルニアへの5つの手術

(1)髄核減圧系の手術

椎間板ヘルニアというのは身体の圧力によって椎間板にヒビが入り、中にある髄核がはみ出ている状態です。

このはみ出た髄核が神経を圧迫し、各症状が出てくるわけです。髄核減圧手術というのは、この圧力を分散させ、結果的に圧力で硬くなった髄核を柔らかくすることによって、神経の圧迫を減らそうとするものです。

・レーザー治療法

別名を経皮的髄核減圧手術(PLDD)と呼び、高出力のレーザーで髄核を焼いて椎間板内の圧力を低下させると言うものです。

レーザーを照射するための小さい穴を開けるだけでよく、切開の必要がないのが最大のメリットです。

また、切開しないために手術時間が短く(通常30分以内)身体へのダメージが少ないなどの優れた特長があります。

デメリットとしては、この方法が効きにくいヘルニアがあることと、保険が適用されないので費用がかなり高く(2~40万円程度)かかることです。

費用の面はとにかく、効かないことがあることをよく認識して、担当の医師と相談してから行いましょう。

・経皮的髄核摘出術(PN法)

こちらは椎間板の中から髄核を必要量摘出する手術です。これを行うと、椎間板の中の圧力が下がります。

圧力の減った髄核は空気の抜けたタイヤのように柔らかくなり、結果的に圧迫の軽減につながります。

手術時間は1時間以内と短く、麻酔も局所麻酔で済む、身体への負担が少ないといったメリットがあります。

保険が適用されますが、レーザー同様効かないタイプのヘルニアがあることや、過去に椎間板ヘルニアを手術した人には勧められないなど、いくつかの適応条件がありますから事前に確認しておきましょう。

(2)髄核摘出系の手術

はみ出した髄核を除去する手術です。髄核減圧系から見ると効果が高い替わりに大掛かりな手術になり、数週間の入院を要求されることになります。

・ラブ法(LOVE法)

背中側を数センチ切開して、腰椎部分を必要量削り、そこからはみ出た髄核を切除します。より傷跡を小さくするように手術する、マイクロラブ法という手術もあります。

マイクロラブ方式では10日程度、ラブ方式では10~20日程度の入院が必要なこと、全身麻酔を必要とすることなどのデメリットがありますが、はみ出た部分を削除するので、効果が高くて確実なのが最大のメリットです。

保険が適応されるため、おおむね10万円程度の費用がかかります。

・内視鏡下ヘルニア摘出術(MED法)

内視鏡と外筒と呼ばれる器具が入るだけの大きさ(2cmほど)を切開し、内視鏡の画像を頼りに外筒を使ってはみ出た髄核を切除するものです。ラブ法より傷口が小さいのが特長なのです。

ラブ法と共に保険が適用され、7日入院で約25万円程度かかります。

(3)脊柱固定術

脊柱固定術は、脊柱に固定器具を埋め込むことによって腰椎を保護するものです。手術をして弱った脊柱を保護することと、再発防止を目的として、他の手術と平行して行われます。

メリットとしては本来再発率が高いヘルニアの再発を、かなりの確立で防護できることがあげられます。

デメリットは一部が固定されるために違和感を覚えやすいこと、リハビリテーションの必要があること、医療用コルセットの購入なども含めて施術料金が高くなることなどがあります。

保険そのものは適用されますが、それにしても支払額が100万円近くなることもあります。

5)手術後の3つのリハビリテーション

一般的には、手術をした次の日には、コルセットを付けて横向きになったり、寝返りをうったりする練習をして、2日目からはベッドに腰掛けたり、歩行訓練を始めるなどのリハビリテーションを開始します。

(1)上半身を起こす

上半身を起こすことが出来るようになったら、腹式呼吸を行う、ゆっくりと身体をねじってみるといった簡単なものを行います。

このときやりたくなるのが身体をそらして伸びることですが、これは椎間板を圧迫するので避けましょう。特に、後ろにそらすのは危険です。

(2)立ち上がる

辛いようであれば腰痛バンドやさらしなどでサポートするのもよいでしょう。大事なのは立ち上がるという行動です。一気に腰に負担が行かないように、台に手をつくなりして、手の力を借りつつ立ち上がりましょう。

立ち上がってからも前屈や後屈は避けます。ゆっくり身体を左右にねじって筋を伸ばすのもいいかもしれません。

(3)免荷して歩行

術式にもよりますが術後すぐに歩き出してしまうと腰部に加わる刺激が大きいため、できるだけ初期は体重を免荷(軽く)しながら動くようにします。

間違えて転んでしまうと一大事なので、ゆっくり足元を確認しながら、室内を歩行します。

辛いようなことがあれば無理はせず、合間を置いて繰り返すうちに次第に歩行距離や時間も長くすることができるようになります。腰痛ベルトやコルセット、杖などを用いてサポートしながらの歩行が安心です。

検査を行う男性ドクター

6)手術後の5つの予後

(1)RICE処置

術後しばらくの対処としてはRICE処置が良いと言われております。RICEとはRest(安静)、Icing(冷却)、Conpression(圧迫)、EはElevation(挙上)の頭文字をとったものですが、椎間板ヘルニアではRICだけになります。

患部に傷を負っておりますので傷口が完全に塞がるまでは出来るだけ安静にし、傷口が多少炎症を持つと思いますので初期は軽く冷やしたり、処方されたお薬を飲むなどします。

さらにコルセットなどで腰部を軽く圧迫すると患部の違和感などが気にならないことがあります。

(2)HEAR処置

手術の傷が完全に塞がった後の対応としてはHEARの原則というのが基本的な対処となります。HEARとはヒート(温める)、エクササイズ(運動療法)、アクティビティー(日常姿勢・動作)、レクリエーション(気分転換)のそれぞれの頭文字です。

毎日ゆったりとお風呂に入って体を温めたり、寒い冬場などではストーブなどで体を温めたりします。さらには体力レベルに見合った優しい運動を実施し、ヘルニアにならぬよう姿勢を気をつけます。

レクリエーションでは長期の治療によって精神的な疲れを休めることが目的です。

(3)軽い運動

散歩や、体操など軽い運動を無理せず行います。体操をする場合でも、よほど症状が良くなければ前屈後屈系は避け、軽くねじるようなものを主眼に行います。この時期では整体やカイロプラクティスなども効果があるかも知れません。

(4)筋肉をつける

神経にキズをつけるとおしまいなので、必ず意識を集中し、無理はしないように、痛みを感じたら中断する姿勢が大事です。散歩や水中歩行など、身体に負担をかけないメニューをメインに組み立てていきます。

散歩は柔らかい土地を柔らかい靴で歩き、背骨(腰椎)に負担をかけないようにします。水中は体重を無視できるので、大変いいリハビリになります。ただ、泳ぐよりは水の中を歩くのがリハビリテーションには適しています。

(5)社会復帰

手術後は1ヶ月程度で座り仕事に復帰できます。肉体労働なら3ヶ月後復帰できます。3ヶ月経過するまでは、療養期間と考え、腰に負担をかけるようなことはできるだけ避けましょう。

7)ヘルニアへの予防の3つのポイント

(1)正しい姿勢を身につける

椎間板ヘルニアの原因は姿勢の悪さが長年積み重なった椎間板の疲労があげられます。本来の椎間板が持っている耐久力が100あったとしても、姿勢が悪くて片側にばかり負担がかかるようでは半分だけしか耐久力を発揮してくれません。

本来、人間の背骨を横から見ると柔らかいS字を描いているのです。つまり、正しい姿勢とはお腹の後ろの腰椎が少し前に出て、首の骨である頚椎を気持ち後ろに引っ込めた体勢です。

次に背中側から背骨を見た場合、まっすぐになっていて両肩、骨盤が同じ高さにあるのが理想系です。ヘルニアの予防でなくても、正しい姿勢を意識するのは肩こりや偏頭痛などの軽減にもつながりますから、いつでも気をつけておくのがよいでしょう。

(2)食事を考える

椎間板ヘルニア、特に腰椎椎間板ヘルニアは基本的に自分の体重による負担に耐え切れないで起きるため、腹筋背筋を鍛えるのと同様、体重そのものを減らして適正体重を保つことも立派な予防方法です。

椎間板ヘルニアの予防のために健康的なダイエットを目指すのであれば、食事は必要な栄養素をきちんと採った上でのダイエットを目指しましょう。

特にカルシウム不足からなる骨粗鬆症にかかると、椎間板そのものがボロボロになり、椎間板がつぶれて、脊髄損傷から下半身不随になる可能性すらあります。

椎間板は軟骨の一種なので、ナンコツや鶏皮、ホルモン類などを食べるのが良いのです。実際にはこれらの食品に含まれるコラーゲンやコンドロイチンが椎間板に効くので、積極的に取り入れていきましょう。

(3)日常動作に気をつける

何気ない日常動作でヘルニアになるのは、筋肉が油断していることが大きく関係してきます。

見た目で軽そうな物を持とうとした場合、脳が勝手に「これくらいかな」と判断して筋肉をセーブします。ところが、思った以上に荷物が重かった場合にまともに腰椎にダメージが行くのです。同じように、急に身体をねじったり、普段使わない部分を使ったりする場合も筋肉が油断していることが多いので要注意です。

正しい姿勢は片膝をつけ、物を持ったら背中はなるだけまっすぐにした体勢か、カエルのように両足を曲げてお尻をどっしりと落とすのがいいでしょう。

この体勢で、背中はまっすぐにすることを考え、持ち上げる力は足の筋肉に任せるようにすると負担が減ります。






今回のまとめ

1)ヘルニアとは、本来あるべき部位から脱出・突出した状態のこと

2)飛び出した椎間板が神経を圧迫することにより、飛び出た箇所とは違う部位に痛みを感じる

3)ヘルニアの代表的な症状は「痛み」「痺れ」「感覚の麻痺」である

4)ヘルニアの手術をした場合、保険適応される手術とそうではない手術があるので、医師とよく相談の上決定するようにする

5)筋肉が油断している時がヘルニアになる危険が大きくなる為、常に意識して行動するように心がける

6)術後三ヶ月は療養期間と考え、できるだけ腰に負担のかからないような生活を心がける

ヘルニアの原因として、加齢や骨粗鬆症、骨盤や背骨のズレが挙げられます。年をとるにつれ脆くなる骨をできるだけ丈夫にする食生活や、骨盤や背骨を歪ませないよう、日ごろの姿勢にも十分気をつけて生活しましょう。

また、ヘルニアになってしまった場合でも、手術に至る割合は罹患全体の10~30パーセントといわれています。

酷くならないよう、毎日少しずつでも筋肉を鍛える運動を続けるのもいいですね。