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日常生活で感じる腰痛ですが、一時的な腰痛とは別に、内臓疾患に関連して腰痛が起きている場合もあります。今回は腰痛でも内臓疾患に関係のある腰の痛みについてお伝えします。

内臓疾患に関係のある腰痛の、検査方法や治療法、自分でできる対処法、腰痛を防ぐ方法についてお伝えをしますので、お役立てください。



腰痛から考えられる8つの内臓疾患!検査方法とは


1)腰痛の代表的な2つの種類

腰痛は、腰の痛みが続く長さによって、大きく分けて、急性腰痛と慢性腰痛の2つに分けて考えられています。

ここでは、急性腰痛と慢性腰痛それぞれの症状について、長さや痛み方、痛みの程度など、症状の特徴を説明します。

(1)急性腰痛

急性腰痛とは、腰痛の症状が現れてからおよそ4週間以内におさまるものを指します。急性腰痛の特徴は、次のとおりです。

・激しい痛みが突然起こる

・腰が痛くなったタイミングがはっきりわかる

・横になると痛みが和らいでいく

・急性腰痛のうち9割のものは1か月以内に自然治癒する

・大抵の場合画像検査を行っても異常が認められない

急性腰痛の例として、次のものがあります。

・ぎっくり腰

・(急性型の)腰椎椎間板ヘルニア

(2)慢性腰痛

慢性腰痛とは、腰痛の症状が現れてからおよそ3ヶ月以上症状が続くものを指します。慢性腰痛の特徴は、次のとおりです。

・鈍い痛みが長く続く

・症状が出た時期がわかりにくい(気づいたら腰痛になっているケースがほとんど)

・安静にしていても痛みが引かない

・時間が経過しても自然治癒しない

・完全に治すことが難しい(再発頻度が高い)

慢性腰痛の例として、次のものがあります。

・椎間板症

・(慢性型の)腰椎椎間板ヘルニア

・脊柱管狭窄症

・腰椎分離症

・すべり症

・変形性腰椎症

・脊椎側弯症

・化膿性脊椎炎

・脊椎カリエス

・腫瘍(脊髄・脊椎)

・骨粗しょう症

Stethoscope with stack of books on wooden background. Medical literature concept

2)腰痛から考えられる2つの原因

腰痛の原因は様々なものがありますが、大きく2つの原因に分類できます。1つは、腰そのものに原因がある場合に起きる腰痛で、もう1つは、腰意外に原因がある腰痛です。

腰そのものに原因がある場合、さらに成長過程に生じやすい腰痛、加齢に伴って生じやすい腰痛など、ある程度本人の年齢で判断ができるものがある一方で、外傷・感染・炎症・腫瘍が原因の場合もあります。

腰以外に原因がある場合、内臓疾患が原因の場合、腰以外の整形外科の病気に原因がある場合、精神疾患が原因の場合などがあります。

(1)腰・腰周りの骨・筋肉に原因がある腰痛

・成長期に生じる腰痛

脊椎側弯症・腰椎分離症

・加齢が原因で起きる腰痛

椎間板ヘルニア・変形性脊椎症・脊柱管狭窄症・変性すべり症・骨粗鬆症・急性腰痛症(通称ぎっくり腰)

・外傷による腰痛

脱臼・腰椎骨折

・感染や炎症が原因で生じる腰痛

脊椎カリエス・化膿性脊椎炎

・腫瘍による腰痛

脊髄腫瘍・脊椎腫瘍・癌の転移

(2)腰以外に原因がある腰痛

・血管の障害が原因で起きる腰痛

解離性大動脈瘤

・神経の障害が原因で起きる腰痛

帯状疱疹・坐骨神経痛

・泌尿器系の病気が原因で起きる腰痛

尿管結石

・婦人科系の病気が原因で起きる腰痛

子宮筋腫・子宮内膜症

・消化器系の病気が原因で起きる腰痛

胆嚢炎・十二指腸潰瘍

・腰以外の整形外科の病気が原因で起きる腰痛

変形性股関節症

・女性特有の腰痛

月経痛・月経不順・月経困難症・更年期障害

・精神疾患が原因で起きる腰痛

身体表現性障害・統合失調症

・病気以外の原因で起きる腰痛

心因性腰痛症(ストレスなど精神的な理由による場合)

3)腰痛から考えられる8つの内臓疾患

腰痛は、整形外科の範囲に入るものもあれば、全く別の器官が原因で起きているものもあります。一見腰とは関係のない、内臓疾患が理由で生じる腰痛も多く存在します。

内臓疾患が原因の場合は特に、早期に発見し、早めに治療を行うことが大切です。ここでは、腰痛に関係する内臓疾患を挙げます。

(1)血管の病気

腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤

(2)胃腸の病気

胃下垂・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がん

(3)肝臓の病気

肝硬変・肝臓がん

(4)膵臓の病気

膵炎・膵臓がん

(5)胆嚢の病気

胆嚢炎・胆石症

(6)腎臓・腎盂・泌尿器の病気

腎盂腎炎・腎周囲炎・水腎症・腎梗塞・単純性腎嚢胞・腎下垂・尿路結石

(7)婦人科系の病気

子宮筋腫・子宮内膜症・子宮頸管炎・子宮がん

(8)消化器系の病気

胆嚢炎・十二指腸潰瘍

Doctor talking to male patient in room on light background

4)「内臓疾患」か「それ以外の痛みか」を見分ける15の項目

腰痛が起きた時、腰に由来するものか、腰以外のことが原因となって起きているのかを、自分である程度把握することができれば、検査を受けたり治療を受ける際にどの診療科に行けば良いかの指針とすることができます。

腰は人間にとって重要な部位で、腰の調子が悪いと、普段通りの生活をすることが難しくなります。特に内臓疾患が原因の場合には、安静にしていても自然治癒することはありません。

腰そのものに着目するだけでなく、元となる病気を治さなければならないうえに、対処が遅れるとそれだけ治療も難しくなってしまいます。

内臓疾患が原因の可能性が高い症状を挙げますので、自分の腰痛が内臓疾患によるものなのか、それ以外のものなのかについての目安としてください。

そして、病気が進んでしまう前に病態を正確に見極めるために、病院で受診するようにして下さい。内臓疾患が原因の可能性が高く検査が必要な症状のポイント

(1)安静にしていても腰痛がよくならない場合

(2)どのような姿勢で休んでも痛みが和らがない場合

(3)寝ている間も痛みが続く場合

(4)1週間以上経過しても痛みが引かない場合

(5)腰痛が徐々に悪化している場合

(6)熱がある場合

(7)吐き気がある場合

(8)嘔吐する場合

(9)全身がだるい場合

(10)腹痛がある場合

(11)足がしびれる場合

(12)足に力が入らない場合

(13)排尿・排便に異常がある(尿漏れ・血尿・痛み等)

(14)食事の前後あるいは食事中に痛みが変化する場合

(15)月経の前後あるいは月経中に痛みが変化する場合

5)腰痛へ自分でできる6つの対処法

急性腰痛のように、激しい痛みが起きた場合などに、病院に行く前に自分で行える対処法について説明します。

(1)痛みを和らげるために休む場所を整える

(2)余計な負担を腰に与えないように楽な姿勢をとりながら急がずに休む場所に移動する

(3)腰が比較的痛くない姿勢をとって休む

(4)外出先で急な腰痛になった場合は動けるようになったら自宅に戻る

(5)自宅への移動の際も腰に負担がかからない方法をとる(車を利用する等)

(6)自宅に戻ったら最低一日は安静にする

安静にする期間について

最低でも一日は安静にして、可能であれば、2日~7日間、安静にしましょう。動けるようになるまでの目安としては、軽い場合は1日もあれば大丈夫です。

比較的重い症状の場合でも、若い人で4日程、中高年の人でも7日程で回復します。

痛みを和らげる方法について

急性腰痛発作が起きてから2~3日のまだ痛みが強い時には、ほてっている患部を冷やすようにしましょう。手軽で消炎鎮痛効果のある成分が含まれている冷湿布をはるとよいでしょう。

冷湿布の用意がない場合には、氷のうやタオルを冷やしたものでもかまいません。ただし、患部を冷やしすぎると血行が悪くなるので注意してください。

患部のほてりが落ち着いたら、次は血行を良くするために蒸しタオルなどを使って患部を温めるようにしましょう。

楽な姿勢について

上を向いて寝る場合には、少し膝を立てると楽になります。膝の下にはタオルやクッションなどを軽くつめておくとよいでしょう。

ベッドで寝る場合は、柔らかすぎるマットは避け、硬めのマットの上に横になるようにします。

急な動作をしない

急性期はとにかく安静にすることが第一です。動かないといけない場合でも、急激な動きを避け、ゆっくりとした動作で行うようにしましょう。

動けるようになった場合

動けるようになってきてもそのまま安静にして横になってばかりいると、かえって回復を遅らせてしまいます。少々痛みが残っていたとしても、徐々に日常の生活に戻るように、体をならしていきましょう。

ただし、焦りは禁物です。急な動きをしたり、重いものを持ち上げるといった腰に負荷をかける動作は控えましょう。

同じ姿勢を長時間とり続けるのも腰にはよくないので、控えましょう。

病院に行くタイミングについて

急な激しい痛みがあるうちは、安静にすることを第一に考えましょう。一週間くらいまでのうちに痛みが引いてきて動けるようになったら、整形外科で診てもらうとよいでしょう。

ただし、痛みが和らがなかったり、悪化する傾向にある場合、腰痛以外にも内科的な症状が出ているような場合には、他の病気が原因の可能性がありますから、すぐに病院に行くようにしてください。

Male medicine doctor hand holding stethoscope head

6)内臓疾患の可能性のある腰痛への6つの検査方法

腰痛は、腰が原因の場合と腰以外が原因となっている場合とがあり、それぞれの病態によって行うべき治療方法が異なります。

このため、どのような治療を行うべきか、より正確な判断が求められます。正しい治療法を選択するためには、正確な診断を行うことが重要です。

どこで診断してもらうか、という点についてですが、まずは整形外科を受診しましょう。整形外科では、腰痛を診ることが非常に多く、把握している症例も多いからです。

仮にその結果、腰痛の原因が腰ではなく、内臓や心因性のものである可能性が高まれば、専門機関を紹介してくれます。

検査は、下記の6ステップにしたがって行われます。

(1)問診

症状を把握するために、医師が患者に様々な質問をするものです。主な質問内容は以下の通りです。

・痛み始めた時期

・どのような痛みか

・どのような動作をしている時に痛むか

・痛み以外にどのような症状があるか

・持病があるか

・過去の病歴

・仕事内容・生活状況(腰に負担をかける内容の有無を調べます)

(2)理学的検査

理学的検査とは、具体的に視診・打診・触診を言います。

視診とは、腰の周囲を実際に目で見て確認し、患者の動作や体の動かし方などを観察して、異常の有無を確認するものです。

打診とは、患部を軽くたたいて筋肉や骨の状態を調べるもので、触診は、患部の筋肉・腰椎・骨盤を手で触れて状態を調べるものです。

(3)神経学的検査

神経学的検査とは、神経の状態を調べて、異常がないかチェックする検査です。

たとえば、足のしびれ・痛みの原因となる神経を調べるラセーグテスト、ゴムのハンマーで膝蓋腱やアキレス腱を軽く叩いて足の反応から神経の状態を探る反射検査などがあります。

(4)画像検査

画像検査は、放射線・磁気を使って画像に映した患部の状態を視覚的に確認する方法です。

たとえば、レントゲン撮影(X線検査)、MRI検査、CT検査、造影検査、骨シンチグラフィー、超音波検査(エコー検査)などがあります。

(5)血液検査

腰痛に関連する内臓疾患を調べるのに有効な手段です。

血液検査を行うと、白血球や血小板の量、抗体の有無など、体内で炎症が起きているかどうか、また細菌感染や組織破壊が生じていないかどうかを調べることができます。

(6)尿検査

尿検査も、内臓の以上を調べるのに有効です。特に、腎臓・腎盂・腎機能に関する症状を調べるのに向いています。

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7)検査後の2つの治療方法とは

腰痛の治療法は、保存的療法と外科的療法の2つの療法に分類されます。

保存的療法とは、手術を含まない療法で、体の組織や内臓などをそのまま保存したまま治療する方法です。一方、外科的療法は、手術によって患部を開いて必要な処置を施す治療法です。

すぐに手術をせざるをえない状況を除いて、検査結果を踏まえて適切な保存的療法を選んで治療を進めるのが一般的な治療の流れです。

その際、複数の治療法を組み合わせて行う場合がほとんどです。保存的療法を続けても症状がよくならない場合に、外科的療法を行うかどうかを検討します。

その際、患者自身の意志や希望、症状の重さを踏まえて、最も適切であると判断されれば外科的療法が行われます。

(1)保存的療法

保存的療法には、様々な治療法がありますが、腰痛の場合には、以下に挙げる療法が用いられます。

・薬物療法

主に、痛みを和らげる目的で用いられます。投与される薬には、外用薬、内用薬、座薬、注射があります。

・運動療法

腰痛の改善を目的として行われるもので、骨や筋肉を強化する筋力トレーニング、体力増強・肥満解消を目的とした全身運動などがあります。

・温熱療法

温熱療法は、文字通り、腰を温めることによって血流を良くし、結果的に腰痛を和らげることを目的とする治療法です。

・装具療法

痛む腰を固定することで腰を保護するものです。腰の周りに装具をつけると、動きが安定して腰の痛みを軽減することができます。

・牽引療法

牽引専用の装置を使い、腰を上下に引いて、腰椎の骨の間隔を広げる治療法で、関節の動きをよくすることによって椎間板への圧力を減らすこと、背骨のゆがみを矯正することなどを目的とする治療法です。

・化学療法

抗生物質や抗がん剤を投与する療法です。細菌感染が原因で生じる腰痛や悪性腫瘍による腰痛の場合に用いられます。

・放射線療法

悪性腫瘍による腰痛の場合に用いられる療法で、具体的にはがん細胞に放射線をあてて死滅させます。手術を行うことが難しい場合にとられることがある治療法です。

・認知行動療法

心因性腰痛症の場合に用いられる療法で、痛みそのものに対する直接的な治療ではなく、病気・医療・痛みに関する考え方を正しいものに変えていく療法です。

(2)外科的療法

いわゆる手術のことで、保存的療法を行っても症状が改善されない場合や、腰痛によって日常生活を送るのが困難な状況になっている場合に検討されます。

8)内臓疾患の可能性のある腰痛への6つの予防ポイント

腰痛になると、日常生活を送る上で、不便に感じる場面が増えます。普段の生活の中で、腰痛になりやすい行動をなるべくとらないようにすることが、腰痛を未然に防ぐポイントとなります。

また、腰痛には内臓疾患が潜んでいることは今まで説明した通りです。ここでは、腰痛そのものと、腰痛に関連する内臓疾患の予防のために、普段の生活で気をつけるべきポイントを説明します。

腰痛の予防には、以下の6つの点に気をつけるようにしましょう。

(1)食生活について

規則正しい生活を送ることは病気の予防として重要です。食生活も規則正しく食べることが基本となります。

そして、食事の内容についても、適切な量の栄養バランスの良い食事をとることが重要です。多すぎると肥満につながりますし、少なすぎると必要な栄養がとれなくなってしまいます。

体重が増えると、ダイレクトに腰への負荷が増えるので、肥満にならないよう気をつけて下さい。

一方、やせすぎの場合も、栄養がとれないために骨や筋肉が弱ってしまうのでやはり腰にはよくありません。

(2)姿勢や動作について

悪い姿勢や重い物を持つと、腰に負担がかかります。普段の姿勢や動作は、無意識に行ってしまうことが多いので、意識的に腰に悪い動作や姿勢を避けるようにしましょう。

具体的には、以下のポイントに気をつけて下さい。

・姿勢を正しくする(猫背にならないようにする)

・中腰の姿勢や上半身を反らした姿勢を長く続けないようにする

・重すぎる荷物を持たないようにする

・長時間同じ姿勢をとらないようにする

・なるべく急な動き、激しい動きをしないようにする

(3)運動について

腰の周りの筋力が弱らないよう、日常的に適度な運動を行うことは重要です。

適切な運動を継続的に行うのがポイントです。

今まで何もしていなかったのに突然激しい運動をすると逆に腰を痛めてしまいますので、「適切な運動」を心がけて下さい。

(4)冷えについて

体の筋肉は、冷えてしまうと固くなってしまい、柔軟性がなくなります。腰が冷えている状態で無理な動きなどをすると腰を痛める原因となります。

また、腰まわりの血流が悪くなると、腰に痛みが生じるようになります。血流は、冷えることによって悪くなりますから、腰回りを冷やさないように注意しましょう。

(5)生活全般について

まず、質の良い睡眠を規則正しくとるようにしましょう。睡眠の長さも重要です。長すぎず短すぎない程度の睡眠時間をとります。

大体の目安として、6時間程度の睡眠であっても、深い眠りですっきりと目が覚めたのであれば十分な長さです。

また、外出した時には荷物を持つことが多いと思いますが、その荷物を持つ手も、左右交互に使うなどして、片方の手に偏らないように注意しましょう。

外出時にはく靴も、足にぴったりと合っているものを選ぶようにしましょう。また、クッション性の高い靴をはくようにして、なるべく歩行時の腰への衝撃を減らすようにしましょう。

飲酒については、適度な量を嗜む程度にとどめ、深酒しないように注意しましょう。喫煙については、本数を減らし、可能であれば煙草を吸わないのが一番です。

(6)ストレスや性格・考え方について

何事も、あまり根を詰めないようにしましょう。頑張りすぎると、ストレスもたまりますし、自律神経のバランスが崩れてしまいます。

疲れも溜まってしまうので、頑張りすぎる人は、疲れがたまる前にきちんと休むようにしましょう。

また、休息時間とは別に、趣味を持つことでストレスを解消するようにしましょう。適度なスポーツや、好きな趣味の時間を生活の中に組み込んでみて下さい。



今回のまとめ

1)腰痛の代表的な2つの種類とは

2)腰痛から考えられる2つの原因とは

3)腰痛から考えられる8つの内臓疾患とは

4)セルフチェック!自分の腰痛が内臓疾患かそれ以外の痛みかを見分ける15のポイントとは

5)腰痛へ自分でできる6つの対処法とは

6)内臓疾患の可能性のある腰痛への6つの検査方法とは

7)検査後の2つの治療方法とは

8)内臓疾患の可能性のある腰痛へ未然にできる6つの予防ポイント

9)足がつる症状へ未然にできる6つの予防ポイント