妊娠中のお母さんのお腹に抱きつく女の子

妊婦さんにとって、仰向けに寝るか、うつ伏せで寝るか、あるいは横向きに寝るのか、という問題が昔からあります。心地よい睡眠は健康や美容にも大きく影響します。

今回は妊婦さんの寝方のポイントや、快眠方法における効果的なアイテムやグッズなどをお伝えします。



妊婦さんの寝方の3つのポイント!快眠方法とは


1)妊婦さんの腰への負担の2つの原因

お産の時、どんな姿勢で分娩台に乗るかが決まっている大学病院。例えば、東京にある昭和大学江東豊洲病院では、仰向けに行っていますが、理由は医学的な処置が必要な場合を考えているためです。

ですが、フリースタイルの分娩を行っている、マタニティクリニックでは、助産師さんと妊婦さんが様々な姿勢で分娩を行い、処置しているのがほとんどです。

分娩は立って行う場合もあれば、寝ながらの場合もあり、それ自体が腰に大きな負担を強いるものです。

妊娠中期から後期にかけて、胎児の成長は、仰向け寝にきつくのしかかります。つまり、胎児が腰に乗っかる状態です。ここから、腰の負担を考えてみましょう。

(1)仰臥位低血圧症候群 (ぎょうがいていきあつしょうこうぐん)

非常に難しい言葉ですが、日本救急医学会では妊婦さんを扱う中で、もっとも重要な症状のひとつです。

これは、SHSと呼ばれますが、妊娠末期の妊婦さんに特有の症状。成長した胎児の重さにより、妊娠子宮そのものが脊柱、つまり背骨の右側を通る 下大静脈=かだいじょうみゃく を圧迫します。

直径3.5cmある下大静脈は、下半身の静脈からの血液を集め、心臓右心房へ取り込んでいます。

静脈を通る血液は動脈とは違い、排泄物などですから、圧迫されただけで生命の危険に晒されるのではありません。

ただ、心拍数が減少して、低血圧になります。血管を血液が流れないことは、神経回路にも影響が及び、吐き気などとともに、腰痛にも見舞われるのです。

仰向けに寝る姿勢は、胎児を守る妊婦さんの体に重くのしかかってきます。それが腰痛になる、というわけです。

(2)女性ホルモンの原因

ホルモンと言えば、エストロゲン や テストステロン などが妊娠期に分泌されることは、よく知られています。

そもそも、ホルモンは脳の働きを活発化させる ドーパミン から、糖尿病患者が透析で投与される インスリン まで、様々なものがあります。

 この中で、妊娠期の腰痛を引き起こすものが リラキシン です。リラキシンが分泌されるのは、月経前と妊娠3ヶ月目から産後3日目あたりまでと言われています。

リラキシンは左右の 恥骨 をつなぐ 恥骨結合 と言う部分を緩める働きをしています。この部分は関節に当たります。関節が緩くなってしまうと、どうなるでしょうか。

よくアゴの関節が外れる、と言いますが、これも関節が緩くなっている証拠です。関節が緩くなってしまえば、これを覆う筋肉に負担が増していきます。

その結果、腰付近に一番荷重がかかってしまうことから、腰痛の原因と言われるのです。

2)妊婦さんの寝つきが悪くなる2つの原因

では、次に 寝つき に関して、原因を考えてみましょう。寝つきの良さと悪さにもホルモンが関係しています。

(1)体内時計の役割を果たすホルモンが不足

そもそも、人間の体は 疲れた と脳が認識することで、睡眠を促すことと、 夜になる と眠くなるようなホルモンの分泌、この2つの作用が働いています。

ある研究では朝日を浴びることで、脳内にスイッチが入ると言われています。実は、睡眠を促すホルモン メラトニン は夜間にかけて分泌し始め、光を浴びることで、活動を止めていきます。

もし、夜更かししてしまったり、深夜にかけて、スマホやPC、テレビなどの強い刺激光を浴びたままでいると、体内のメラトニンの分泌が行われません。その結果、寝つきそのものが悪くなってしまうのです。

(2)低血圧

妊婦さんの中には、一日中眠くてたまらない…という方がいます。これは プロゲステロン というホルモンが分泌されることが原因。

妊娠中の体内を安定に導くための役割があります。実は、これは妊娠初期の段階だけで、中期から後期にかけては、プロゲステロンは分泌量が減少します。

妊娠期は様々なホルモンが分泌されていきますが、中には血流のスピードも変えてしまうホルモンがあります。

胎児がお腹にいる、ということは、通常の女性の体よりも1.5倍ほど血液が必要になる、とも言われていますが、心臓から送り出される血液の量は、そう簡単に増やせません。

そこで、血管の中を通る血液のスピードを遅くし、血管内の圧力が小さくなる 低血圧 になるように設定されるのです。

めまいが起きたり、貧血の症状になるのは、このせい。寝つきが悪くなるのも、関係しているのです。

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3)妊婦さんにオススメの寝方の3つのポイント

ここまで、妊婦さんが抱える様々な体の変化と、ホルモンの関係を述べてきました。ここからはこうした中でも「ぐっすり」寝られるような方法をお伝えします。

(1)横向きに寝る

昔から、妊婦さんの寝方で良くないのは うつぶせ寝 と 仰向け寝 と言います。これは、理論的にも間違いないところで、妊娠中期から後期にかけてのうつぶせ寝は、胎児を押しつぶしてしまう格好になりかねません。

また、同じように、仰向け寝は上記にも記したように、低血圧である妊婦さんがますます血管を押さえつけられるようになりますので、血流がなおのこと悪くなります。

意識が無くなるケースもあるのは、胎児が大きくなってきている状態で、仰向け寝になっている場合です。

横向きで寝る場合は、左右どちらの向きでも構いません。バランスを考えるとどちらか一方よりも、代わるがわる横向きの方法を変えるのがよいでしょう。

横になっている場合でもお腹は下に向きますし、どちらかの手でお腹を抱えられるような格好になれば、安心できます。

つまり、寝方だけでなく、全身をリラックスさせ、胎児にも安心感を与えることが大事です。

(2)リラックスさせるための工夫が必要

横向きに寝ることを意識してしまっても、気が付くと仰向けになっている妊婦さんは少なくありません。普段寝ている習慣は、そうそう変えられないものです。

ここで、考えておきたいのは、上記にも記したように ホルモンバランス をうまく活用する方法です。

寝る間際までスマホを見ることは厳禁。赤ちゃんがお腹の中で動いているから、と自分もなんとなくスマホをいじってしまうと、脳は明らかに疲労していきます。

メラトニンが分泌されず、活動的になるドーパミンがスマホを見ることによって分泌されるのは、かえって体調をおかしくしてしまいます。

そのためには、リラックスさせる工夫をしていきましょう。例えば、足を冷やさないように暖かくすることで、安眠できます。血流を良くしていけば、リラックス効果が生まれるのです。

(3)香りによる安眠効果を高めましょう

眠りについての研究によれば「におい」「香り」には、リラックス効果がある、ということが脳の研究でわかっているそうです。

脳は著書、 事象関連電位マニュアル-P300を中心に 95年、篠原出版・共著 にもありますが、自分の好きな におい を嗅ぐことで、脳内でにおいの素をイメージすることになり、結果的にリラックスできる、という効果があるのです。

桃の香り、ジャスミン、ラベンダーから、ウイスキーに至るまで、好きな香りやにおいをそばに 置いて 横向きに寝る、これが安眠効果を高めるのです。

4)妊婦さんへオススメの寝具

妊婦さんにとって、寝具は大変大事なものです。布団に寝ているのを、いきなりベッドに変えたほうが楽と聞いて、購入する、というのも条件的になかなか難しいケースもあるでしょう。

(1)肌に優しい日本製の綿製品のシーツ

その場合、寝具に関しては 汗を吸収しやすい ものと、産後でも使えるものがお勧めです。特に、出産後は赤ちゃんのアトピー肌に悩むお母さんが少なくありません。

化学繊維に敏感な妊婦さんは、できるだけ 日本製の綿製品 のシーツを使うことがよいでしょう。

(2)抱き枕

様々な商品がありますが、基本は2つ、まずは 抱き枕 です。これは、どのような形でも販売されていますので、お店で選んで、購入して行かれるのが一番です。

(3)エンジェルサポートマット

もう一つ、ここでは寝具メーカー老舗の 西川 の商品をご紹介します。布団で有名な 西川 では、西川リビング という会社で妊婦さん用のマットレスを開発、販売しています。

西川リビングのサイト はっぴーマムでは、母性・助産学教授保健看護学博士の赤井由紀子先生との共同開発で、エンジェルサポートマット という商品を販売しています。

これは簡易的なマットで、出産のためだけでなく、一生使える非常に便利なマットです。全国の産婦人科でも採用されています。

また、高齢者の床ずれ防止にも役立っているようです。

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5)妊婦さんへ快眠のための食事のポイント

食材に関しては、様々な本や妊娠に関する雑誌、サイトなどが出ています。ここでは、個別に取り上げず、その飲食の方法を記しておきます。

(1)空腹を避けましょう

快眠を防げないためにすることは、空腹にならないことです。これは妊娠初期から中期、後期と変化していきます。

つわりやめまいが多い初期では、なかなか食べられない妊婦さんが多く、できればクラッカーなど食べやすいものを、少量でよいので、何度かに分けて口に入れるようにします。

(2)大豆製品の摂取を

妊娠中期から後期にかけては、便秘になりやすいため、豆類を多く摂取する方が増えていきます。その際、味付けは薄めにしておきましょう。

濃いめにするとそれだけ水分補給を体が要求します。寝られないほどの喉の渇きは、問題です。

6)妊婦さんへ熟睡の為の生活習慣のポイント

最後に、熟睡のための習慣についてです。まずは、ご家族の協力が必要、ということです。熟睡できるかどうかという大きなポイントの一つは、意外にもストレスからの解放なのです。

住んでいる場所など、環境はなかなか変えられません。中には実家に帰郷して、出産する方がいますが、できるだけ安心できる場所を選べる場合は、ぜひそうしておきましょう。

また、金銭面での不安などが大きい妊婦さんの場合は、ご家族が出産に関わる費用、区役所や市役所などの様々な出産後の助成について、事前に情報入手しておくことが大事です。



今回のまとめ

1)妊婦さんの腰への負担の2つの原因

2)妊婦さんの寝つきが悪くなる2つの原因

3)妊婦さんにオススメの寝方の3つのポイント

4)妊婦さんへオススメの寝具

5)妊婦さんへ快眠のための食事のポイント

6)妊婦さんへ熟睡の為の生活習慣のポイント