カルテを使って患者に話す男性医師

「恥骨」とはどこにある骨か知っていますか。正解は骨盤にある骨の一つです。では、骨盤内にあるこの骨を骨折してしまったら、どのような症状がでるのでしょうか。どんな治療が必要なのでしょう。後遺症も心配になりますよね。今回は骨盤の構成と、恥骨骨折の原因治療法ついてご紹介いたします。



恥骨骨折の症状解説!3大原因と行われる治療方法の紹介


1)そもそも骨盤とは?骨盤の5つの構成

骨盤は骨格を構成する骨です。背骨側にある左右対称に広がった腸骨、腹部側にある恥骨、坐骨が結合してできている寛骨、後方は仙骨尾骨で構成されています。骨盤内にある臓器は、S状結腸、直腸、肛門、膀胱、尿道、女性は子宮、卵巣、卵管、膣です。骨盤内にある消化管と泌尿器系は、下腸間膜動脈、内腸骨動脈で支配されています。女性性器は、卵巣動脈と子宮動脈があります。

2)考えられる要因とは?恥骨骨折の主な3つの原因

恥骨骨折の原因は主に、下記の3つが考えられます。

(1)事故

(2)転倒

恥骨骨折の原因で多いのが事故と転倒によるものです。若い人は自動車事故や落下事故、スポーツ中の転倒が原因にあげられます。

(3)骨粗しょう症に関わるもの

高齢者の場合は、事故に加え骨粗しょう症で骨がもろくなったうえに、転倒をして骨折することが多いようです。骨がもろくなっている人は平地で転倒しただけで、恥骨を骨折してしまいます。恥骨の場合、前方からの外力で恥骨骨折、恥骨離開(左右の恥骨が開くこと)をおこします。また、下方向からの外力でも恥骨骨折をおこすことがあります。重度の骨粗しょう症の場合、歩いただけで恥骨が折れることがあります。

人は歩くと足の裏に衝撃を受けます。この衝撃は骨盤の下を通り、大腿骨頚部が受け止めます。恥骨や坐骨の骨が細い部分は骨盤の振動により、たわみます。さらに恥骨や坐骨には腹筋や内転筋の収縮により負荷がかかります。骨密度が高ければ、これらの衝撃や負荷は十分に耐えられますが、骨がスカスカであると度重なる衝撃や負荷に耐えられずに、骨が折れてしまうことがあります。

3)専門家で何が行われる?恥骨骨折の症状と4つの治療法

(1)症状

歩けないほどの激しい疼痛、骨折時に動脈や内臓を損傷するとショック症状が出ることがあります。

(2)検査

触診で骨折部位の安定性を確認します。単純X線で骨折部位を確認します。X線で確認できない場合はCTを行います。血尿や肛門からの出血時は造影検査を実施して確定診断をします。

(3)治療法

治療法は状況により異なります。

鎮痛剤/非ステロイド性抗炎症剤

骨粗しょう症による骨折のような場合、骨折部位が安定しているため、痛みと炎症を抑える鎮静剤や非ステロイド性抗炎症剤を服用して安静にします。

歩行器の活用

安静による筋力低下やこわばりなどの合併症を防ぐため、医師はすぐに歩くよう指導します。一般的には、1週間の安静後には歩行器を使って歩けるようになります。

動脈塞栓術

1~2カ月後には症状も回復し、障害が残ることもほとんどありません。自動車事故や落下事故で恥骨骨折をした場合は手術が必要になることがあります。出血がある場合は「動脈塞栓術」という術式で手術を行い、血圧を安定させます。膀胱などの臓器を損傷した場合も手術が行われます。

骨折観血的整復固定術

骨折部位が安定していない場合は、創外固定器を使用して固定させる「骨折観血的整復固定術」という手術を実施します。内臓損傷などがある場合は、命にかかわるため専門的な病院での処置が必要になります。

手術を行う医者

4)普段から予防習慣を!骨を丈夫にする為に摂取したい7つの栄養素

ここまで読んでいただいたみなさんは、骨粗しょう症にはなりたくない、と思っている人もいるでしょう。「歩いただけで骨折、入院。1週間安静して、リハビリ。完治までに2カ月。」考えるだけで嫌になりますね。今はサプリメントブームですから、骨を丈夫にするサプリメントはすぐに手に入ります。しかし、サプリメントからだと不要な栄養まで一緒に摂ってしまいます。やはり栄養素は食事から摂りたいですよね。ここでは、骨を丈夫にする栄養素についてご紹介いたします。

(1)カルシウム

骨を作ります。牛乳やチーズ、納豆、大豆、モロヘイヤ、チンゲン菜小魚、うなぎ、大根の葉、春菊などに含まれています。

(2)タンパク質

骨を丈夫にするには筋肉も必要です。肉類、魚類、卵、乳製品、大豆に含まれます。

(3)ビタミンD

カルシウムの吸収を促します。シイタケなどのきのこ類やサケなどの魚類に含まれます。

(4)マグネシウム

骨の形成を促します。干しエビ、シラス干し、ナッツ類、ゴマに含まれます。

(5)ビタミンC

骨を構成するタンパク質「コラーゲン」を生成します。イチゴ、キウイ、パセリ、ジャガイモなどの野菜類、柑橘類をはじめとした果物に含まれます。

(6)ビタミンK

カルシウム成分を骨に取り込みます。納豆やパセリ、大葉、ホウレンソウ、小松菜、ひじきに含まれます。

(7)コンドロイチン

カルシウムの沈着や骨折の回復に作用します。サメの軟骨(フカヒレ)、牛・豚・鶏の軟骨、すっぽん、鯛やまぐろの目玉、うなぎ、ツバメの巣、鶏の皮に含まれます。食材がたくさんあって料理をするのも、食べるのも大変そうですが1日の食事に上手く取り入れてみてください。また、午前中の日にあたりながら歩くことも骨を丈夫にする効果があります。日中歩くことが難しい人は、運動することを心がけてみましょう。



今回のまとめ

1)骨盤の構成から考えると、骨折時には内臓や動脈の損傷に気をつけなければならない

2)恥骨骨折の原因は交通事故、落下事故、骨粗しょう症による自然骨折

3)恥骨骨折の症状は激しい疼痛、治療法は薬物療法と早めに歩き始めること

4)骨を丈夫にするためには、ビタミン類を意識的に摂るようにすること