カルテで説明をする男性の医師

骨盤は、上半身を支え、下肢への血管や神経の通り道、そして泌尿器や消化器などを収める重要な部位ですが、自動車事故や高所からの落下によって骨盤骨折を引き起こすことがあります。今回は、この骨盤骨折の原因治療などについてご紹介します。



骨盤骨折の3つの種類を解説!症状・原因・治療方法とは


1)理解しよう・・骨盤骨折とはどんな怪我か

(1)骨盤とは

骨盤は、両側にある「寛骨」と後方中央にある「仙骨」が環状につながってできています。寛骨は上方の「腸骨」、後下方の「坐骨」、前下方の「恥骨」から構成されています。後方には仙骨があり、腸骨と仙腸関節で結合しており、骨盤の両側には股関節があります。骨盤は、上半身を支える土台の役割を果たし、股関節を介して下肢とつながって、さらに下肢への血管や神経の通り道となっている重要な部位です。そしてその中に生殖器や泌尿器、消化器などを収めています。

(2)骨盤骨折

骨盤骨折は、軽度の打撲、事故、高所からの落下などによって起こり、骨の一部が欠けたり、骨盤の環状構造が破壊されたりすることをいいます。

2)種類の違いとは?骨盤骨折の原因と骨折の3つの種類

骨盤骨折の原因はほとんどが事故(特に自動車事故)によるものですが、高所からの転落などによっても損傷が発生します。特殊なケースとして、筋肉の付着部が剥がれる「剥離骨折」などの若年者のスポーツ外傷や、高齢者の転倒など比較的軽微な外力によって起こる骨折も認められます。骨折の種類としては、以下の3つに分類されます。

(1)外傷性骨折

外圧が加わることで発症するもの。

(2)疲労骨折

弱い圧力が繰り返し起こることで発症するもの。

(3)病的骨折

腫瘍などで病的に弱くなった骨に発症するもの。弱くなった骨は度重なるストレスによって骨盤や股関節に骨折が生じることがあります。

3)症状の解説!骨盤骨折の症状とは

骨盤骨折の重症度は、骨盤の一部が骨折する軽度のものから、骨盤の環状構造の連絡が絶たれたり、股関節に骨折がおよんで手術を必要とするものまでさまざまであるといえます。恥骨骨折や坐骨骨折では、座っても横になっても股間に相当な痛みを生じます。歩ける場合もありますが、痛みは増すことが多いようです。大きな骨盤の骨折は痛みがひどく、歩行は不可能な状態になります。

骨盤は、生殖器や泌尿器、消化器などを支えているものなので、骨が損傷するということは内臓にも損傷がおよぶ場合があります。特に交通事故や高所からの落下の場合は、神経や筋肉、血管などにも影響を与えることがあります。

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4)適切な治療方法を!3つの種類別の治療方法とは

(1)恥骨骨折・腸骨翼骨折

恥骨骨折は下腹部にある部位の骨折であり、腸骨翼骨折は腰の両側にありベルトが掛かる部位の骨折です。これらは骨盤骨折の中でも比較的軽いものなので永久的な障害を残すことなく治癒し、手術を行うことは稀です。痛みと炎症を抑えるために、鎮痛剤や非ステロイド性抗炎症薬が役立ちます。ほとんどの場合、1週間程度で歩行器を使用して短い距離を歩くことができるまでに回復します。

(2)寛骨臼骨折

寛骨臼骨折は、関節内骨折であるため、なるだけ正しい位置に戻すことが重要となります。もし、骨折のずれなどを残したまま保存的に治療した場合、骨折は癒合しても「変形性関節症」が経時的に進行するため、将来的に「人工関節置換術」を要する可能性が高くなります。

(3)骨盤環骨折

骨盤環骨折は、骨盤後方要素が破壊されて不安定性が強い場合、手術の適応となります。「スクリュー」、「プレート」、脊椎固定用の「インプラント」などを使用して固定します。保存的な治療に比べて、比較的早期に車椅子や歩行練習が可能になることが利点と考えられます。なお、この骨折では内臓の損傷を伴うこともあり、大量出血すると命の危険に晒されます。したがってその場合、まずは命を救う治療から開始します。

5)大切な治療後・・骨盤骨折の予後と3つの予防ポイント

上述したとおり、骨盤骨折の重症なものは突発的な事故によるものが多いため、その予防は困難といえます。万が一、不幸にも事故などに遭い骨盤骨折を起こしてしまった場合には、安定性が悪くなるため、しばらくの間は安静と骨盤の固定が必要となります。

但し、安静のために寝たきりの期間が長くなってしまうと筋力の低下や関節の硬縮が起こりやすくなります。したがって、可能な限り早い時期からの筋力強化訓練や関節可動域訓練が必要になってきます。一方、事故を防ぐことはできませんが、骨盤のみならず日常的に骨や筋肉を鍛えておくことは一つの予防策といえるでしょう。以下に基本的な予防の方策を整理します。

(1)カルシウム摂取

骨の健康のためにカルシウムを多く摂取しましょう。骨盤だけではなく、骨の健康のために日常的にカルシウムを摂取することが大切です。

(2)腹筋などを鍛えること

腹筋や腹横筋を鍛えて正しい姿勢を維持することや、コルセットなどを装着して腰痛を防ぎ、腹部や腰を支えている骨盤への負荷を少なくすることが有効です。

(3)ストレッチを行うこと

体が硬いと転んだときの衝撃をそのまま受けることとなります。これを軽減するためにも日常的にストレッチをして、普段から筋肉や関節を柔らかく保つことが重要です。



今回のまとめ

1)理解しよう・・骨盤骨折とはどんな怪我か

2)種類の違いとは?骨盤骨折の原因と骨折の3つの種類

3)症状の解説!骨盤骨折の症状とは

4)適切な治療方法を!3つの種類別の治療方法とは

5)大切な治療後・・骨盤骨折の予後と3つの予防ポイント