女性の足のストレッチを行うドクター

股関節は体重の3倍以上の力がかかる最大かつ重要な関節です。股関節が痛い場合、40〜50代に多く発症し、手術が必要になることもあります。

今回は股関節が痛い場合の考えられる病気、主な原因と、治療法予防ポイントをお伝えします。



股関節が痛い症状で考えられる5つの病気とは


1)股関節が痛い場合の3つの主な症状

(1)長時間の運動後や重いものを持った後に痛む(初期)

軽い痛みやこわばる違和感を感じますが、痛みは少なく1日程度で治まります。太もも、おしり、腰など股関節以外から痛むことが多いようです

(2)つまずいたり歩行に難しさを感じ、痛みが治まりにくくなる(進行期)

運動後などではなく、動き始めや日常的にも痛みが強くなり、続くようになります。片足の痛みをかばうため、さらにもう片方の脚に負担がかかるようになります。

(3)何もしなくても痛みを感じる(末期)

筋力が落ち、柔軟性がなくなり寝ている時でも強い痛みが断続的に続きます。また、左右の脚の長さが異なるようになり歩行に難しさを感じます。

2)股関節が痛い場合に考えられる5つの病気

(1)変形性股関節症

「変形性股関節症」は、関節の表面を覆う関節軟骨が、老化に伴い摩耗することで薄くなり、骨と骨がぶつかることで神経に痛みを感じるものです。女性に多く発症します。

(2)大腿骨頭壊死症

「大腿骨頭壊死症」は元々血管の少ない大腿骨頭に血が通わなくなり、壊死することにより起こります。「変形性股関節症」とは違い、急激に痛みを感じます。

男性の場合は大量の飲酒、女性の場合は、大量のステロイド摂取により起こる事が多くなります。

(3)関節リウマチ

「関節リウマチ」は免疫異常によって、関節の炎症により起こります。手の指や手首など小さい関節から痛みが起こる事が多いです。

女性の場合は、特に妊娠や出産、怪我などがきっかけとなり、30~50代の女性に多く発症します。

(4)臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)

胎児期の脱臼といった先天的なものと、後天的に股関節が上手く機能しなくなっている場合があります。

日本ならではの正座や和室などの利用で股関節の負担が増え続けると「変形性股関節症」となる可能性も高くなります。

(5)股関節唇損傷

「股関節唇損傷」ば臼蓋を包む線維軟骨である股関節唇が損傷している状態です。元々股関節に異常がある場合が多くあります。

元々股関節に異常がある場合も多く、関節が不安定で痛みが生じます。

3)股関節が痛い場合の4つの主な原因

(1)肥満

体重の3倍の力が掛かるため、肥満傾向にあると常に股関節に負担がかかることになります。

(2)姿勢の悪さ

猫背や内股、足を組むなど姿勢が悪いと、身体が歪み、どこか一箇所に力が掛かります。

(3)日本古来の正座・和式トイレなどの生活習慣

頻回かつ長時間、膝を深く曲げることになるため股関節にも負担が生じます。

(4)運動不足

運動不足で筋力が衰えることで、股関節も固くなり衝撃を吸収しにくくなります。

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4)股関節の痛みを解消する為のストレッチ

では、股関節の痛みを解消するために、どんなストレッチをすればいいのでしょうか。3つご紹介したいと思います。

(1)あお向けで膝を90度に曲げて、左にゆっくり倒して、戻したら右に倒します。

(2)うつ伏せになり同じく膝を90度に曲げて、左にゆっくり倒して、戻したら右に倒します。

(3)体育座りをして膝とかかとをつけたままで、同じく左にゆっくり倒して、戻したら右に倒します。

どれもゆっくりと3分位で、気持ちいい痛さくらいで止めるように注意します。これにより身体の柔軟性を高めて、動かせる範囲を広げて股関節への負担を減らします。

5)股関節の痛みを解消する為のトレーニング

(1)スクワット

肩幅くらいに足を開いて、膝に痛みが出ない程度のところまでお尻を床に近づけていき、限界のところで10秒維持し、ゆっくり元に戻します。

この時、膝を傷めないように膝の向きと足先の方向がずれないように気をつけます。毎日10回程度行います。

(2)水中ウォーキング

負担が少ない水中でウォーキングします。水中は身体が冷えてしまうため、プールから上がった後はお風呂などで身体を温めるようにします。

どちらも筋肉をつけるトレーニングで、進行を和らげる効果があります。トレーニングは1ヶ月程度続けることで効果が表れるため、ゆっくり焦らず続けていきます。

6)股関節が痛い場合へのその他の4つの対処法

(1)温める・冷やす

長く続く痛みにはお風呂や専用機器などで温め、急激な痛みにはジェルで出来たコールドパックで冷やすことが一般的です。良くならない場合は、医師に相談が必要です。それぞれやけどや凍傷には注意します。

(2)靴を選ぶ

履いたり、脱いだりがしやすいような靴を選び、左右の長さが違う場合には中敷きやきちんと調整した補高靴を利用し、股関節に刺激がいかないようにします。

(3)杖やカートを使う

杖やカートの使用で股関節にかかる力を分散し、安定して歩行が可能になります。

(4)椅子を使う

食事中、お風呂、玄関での靴の脱ぎ着など椅子を使い、膝を深く曲げないような日常生活を送ります。

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7)股関節が痛い場合への5つの治療法

股関節の痛みは整形外科が担当しており、関節が専門の医師もいます。初期の場合は身体に負担の少ない保存療法を行い、改善や維持が難しい末期の場合は手術が検討されます。

保存療法としては以下の方法があります

(1)運動療法

股関節を柔軟にするストレッチや筋力をつけるための筋力トレーニングなどがあります。やりすぎはかえって股関節を痛める原因になりますので、医師や理学療法士に相談して適切に行いましょう

(2)温熱療法

長く続く痛みには温めて血流を良くして、炎症を抑える修復力を高めます。温熱療法は整体院や整骨院でも行われています。保険適応された場合は500~1,000円程度で行われています。

(3)薬物療法

初期は冷湿布や内服薬(消炎鎮痛剤)が使われますが、効果を感じにくい場合は座薬などの外用薬や注射などを使用します。

ヒアルロン酸注射では、潤滑油となるヒアルロン酸を直接体内に入れることにより、痛みを抑えて動きをスムーズにします。

ヒアルロン酸は元々体内にも存在するため副作用の可能性が低くなります。ステロイド剤の注射は繰り返すと逆に軟骨を痛めるため、1年に2回程度の注射が望ましいとされています。料金は3000円程度が多いようです。

上記の(1)~(3)を保存療法といいます。保存療法で症状が改善しない場合は、以下の手術が検討されます。

(4)人工関節置換術

関節を完全に切除して、その代わりに金属やポリエチレンで出来た人工関節を埋め込みます。

人工関節は15~20年で再度置き換える必要があるため注意が必要ですが、関節を完全に置き換えるため痛みの解消が期待されます。比較的、老年の方向けに適用されます。

また、身体にとっては異物を入れるため細菌感染に弱く、脱臼しやすいため術後のリハビリが重要です

入院期間は3~4週間で、費用は200万円になりますが、3割負担だと60万円程度となり、更に高額療養費制度で月額8万円程度になるようです

(5)骨切り術

自分の身体を温存する手術法で、股関節の骨を整えて、痛みを取るために行われます。55歳以下の比較的若い人に行われます。手術後は4~6週間は歩行できないため、

「人工関節置換術」よりも回復スピードは遅く、術後6~8週間目くらいまでは体重をかけないように松葉杖歩行が必要となります

入院期間は8~10週間で、費用は220万円になるようですが、3割負担だと66万円程度となり、更に高額療養費制度で月額8万円程度になるようです。

8)股関節の痛みへの予防ポイント

(1)生活習慣

トイレは洋式に変え、掃除も膝をつかない、正座をしないなど日常動作で出来るだけ膝を深く曲げないことが大切です。

また、転びにくいように家の中の段差は解消し、転倒防止マットや手すりの設置も有効です。姿勢も正しく、猫背にならないように気をつける必要があります。

(2)食習慣

骨粗しょう症にならないようにバランスの食生活をすることに留意します。肥満の方は、体重が掛かって股関節に負担が掛からないように減量するようにします。

(3)睡眠習慣

膝を曲げる必要のある布団ではなく、ベットを利用して負担を掛けないようにします。靴下やレッグウォーマーを履き、寝ている間も脚を冷やさないようにします。

(4)運動習慣

15分以上の過度なウォーキングなどは避けて、ストレッチや負担の少ない水中でのウォーキングなどを行います。

柔軟性を高めて、筋肉を付けることで予防することが出来ます。身体が温まったお風呂の後などが更に効果的です。

痛みがある場合、運動計画は医師や理学療法士と相談して行うようにしましょう。



今回のまとめ

1)股関節の痛みは、関節の表面を覆う関節軟骨が、老化に伴い摩耗することで薄くなり、骨と骨がぶつかることで神経に痛みを感じるものである。

2)股関節の痛みは股関節周りの柔軟性を高めることで、痛みを軽減できる。

3)関節痛の痛みは筋力アップや減量で、股関節への負担を減らし痛みを軽減できる。

4)初期の症状には杖や椅子や手すり利用など、日常生活に留意することで痛みを和らげる方法がある。

5)股関節の痛みには身体を傷付けない保存療法を行い、改善が難しい場合には手術が検討される。