MRIの検査結果を確認する医師

尾骨 = びこつ とは、お尻の真ん中上あたりの凹みに位置している骨です。この部分が痛む場合、肛門付近や肛門から後方にかけての 会陰 = えいん 部分も響きます。今回は尾骨の痛みの原因や考えられる治療法、予防のポイントをお伝えします。



尾骨の痛みの3大原因とは?症状と治療方法の解説


1)どんな痛みが現れる?尾骨の痛みの種類とは

尾骨は通常、 尾てい骨 =びていこつ とも言われ、特徴的な痛みが走ります。2種類に分けられますので、まず説明していきます。

(1)腰掛けていると痛くなっていく

硬い椅子ではなく、座り心地の良いクッションやソファーなどは、通例尾骨への圧迫を和らげるものです。ところが、そうした柔らかい素材の椅子でも、お尻に痛みが走り、はっきりと尾骨付近、とわかってくる場合があります。

(2)緊張する場面で痛みが出る

立っている、座っている、あるいは歩いているなど、様々なケースでも特に緊張を強いられている場合に、尾骨あたりが痛み出すことがあります。入浴などで痛みが消える場合があり、特定の条件の時に痛み出すというケースです。

2)なぜ痛みが?尾骨の痛みの3大原因

尾骨は人間の骨の中でも、上半身の重みを支える部分に位置しています。そのため、姿勢の良し悪しで痛みが走ったり、あるいは骨折によって痛むことがあります。詳しく説明していきましょう。

(1)尾骨骨折

尾骨は臀部に位置しており、人間の進化の過程で最後に残った尾の部分、とまで言われている骨です。そのため、3個から6個程度の小さな骨が組み合わさっている、と表現されますが、実際には頭を支える 頚椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎、と全部で30もの骨、すなわち脊椎 =せきつい の一番下が、尾骨なのです。尾椎の椎は、椎間板 すなわち骨と骨の間のクッション部分を指します。背骨がまっすぐだったり前のめりだったりする理由は、骨と椎間板の絶妙な関係のおかげ。

ですが、それだけ体を動かせば椎間板は擦り減っていきます。そうなった場合、神経が通る部分がむき出しとなり、ちょっとした体の動きでも、神経に触ります。それが痛みなのです。尾骨骨折がスポーツ選手にとって致命傷になる事例として、1997年のサッカー選手 カズ こと、三浦知良氏の受傷が挙げられます。

彼はこの年の国際大会で、対戦相手に尾骨を蹴り上げられ、尾骨骨折を被りました。尾骨は体の後ろにあること、すなわち予期しない打撲であることと、脊椎の一部を骨折することで、体のバランスを欠いてしまうのです。実は、こうした骨折は、女性にもあり、特に出産時の妊婦さんが、下半身を力ませなければならない際に、骨折することがあるのです。

(2)前立腺炎

ぜんりつせんえん、は 男性の50%が一生に一度は罹患する、といわれる症状です。尿の出が悪い、下腹部に違和感がある、といったことの他に、尾骨付近に鈍痛がある、といった症状があります。また、サイクリングを過度に行う人の場合、長時間自転車のサドルにまたがることから、尾椎を磨耗させ、あるいは前立腺に異常を来たす割合が高い、と言われます。世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランスの選手のほとんどは、前立腺炎の症状があり、尾骨に痛みを伴う場合が多いとされています。

(3)尾骨筋が引っ張られている

女性の場合、20代から30代にかけて尾骨の痛みを訴える人が少なくありません。男性の場合は、デスクワーク中心で座りっぱなしの人が対象になりやすいのに比べ、女性は逆に、立ち仕事である 看護師や飲食業に勤務する人などが多い傾向があります。例えば、お辞儀をする場合、体を前のめりにします。

この際、姿勢がどうしても 反り腰、出尻になってしまう人の場合、尾骨付近の筋肉である尾骨筋が伸びきってしまうことになりがちです。筋肉は身体中を斜めに走っているため、尾骨付近が痛いということは、その付近とつながる筋肉部分を刺激することが必要になります。

Doctor and patient are discussing something

3)どんな症状が現れる?尾骨の痛みの症状とは

尾骨が 男性の排尿機能、あるいは女性の生理に関係する部位 に近いため、結果的に起こる症状 と、尾骨そのものが骨折かヒビなどに依るものか、で症状は大きく変わってきます。ここを知っておきましょう。

(1)尾骨そのものの損傷の場合

尾骨に痛みが走る、という理由は、上記に記したように脊椎の一部の損傷であることからです。痛みはなぜ起こるのか、それは神経という 線 が走っている部分に、何かが触れることで信号が脳に送られることを意味します。尾骨が痛い、ということは、ここに神経が走っていることがわかるでしょう。尾骨も3個から6個の骨からできており、神経が通っています。

よく「脊髄 =せきずい」と言いますが、背骨にある脊椎、つまり骨と骨の間の部分から脊髄神経という線が横方向に伸びていきます。この脊髄神経の一つが、尾骨神経なのです。尾骨そのものが骨折したり、ヒビが入ることで、神経の線に骨や筋肉などが干渉し、触れてしまうことで痛みが発生します。

(2)泌尿器などの障害による尾骨の痛み

男性の排尿に関係する前立腺炎、性病、あるいはストレス性疾患によって、下半身に緊張感が絶えず襲ってくる場合、自然と体がこわばってしまいます。その場合、重い痛みが続くことがあります。また、女性の場合は生理不順や妊娠期における緊張感などで、痛みが下半身に集中することがあります。

寝返りでのキリキリとした痛み、椅子から急に立ち上がる際の痛み、横になる姿勢での痛み、そして歩くことが辛くなったり、椅子に座っていて、いつのまにか滑り落ちてしまうなど、痛みが慢性化することがあります。実は、こうした痛みの原因の多くは姿勢であったり、骨盤が成長する妊娠期の体の変化だったりするものです。

4)症状が続く場合に注意!考えられる3種類の病気とは

では、尾骨の痛みから、病気と診断される可能性のものを3つに分けて記していきましょう

(1)

痔は、男女に関係なく20代から発生する病気の一つです。排便の際に血が混じったり、痛みが発生するなど、非常に辛い症状だけでなく、痛みを伴わない場合もあります。ただ、臀部への力みから、自然と尾骨に力が入ることで、尻餅と同じ程度の圧力がかかってくるのです。

(2)子宮内膜症

子宮内の異常による痛み、あるいは痛みが尾骨付近にしか感じないなどの場合、女性特有の子宮内膜症の疑いが出てきます。ただ、その場合生理痛が激しかったり、貧血や頭痛が頻繁に起こります。

(3)糖尿病

シオノギ製薬といえば、糖尿病のインスリンがよく知られていますが、実は糖尿病にならないための健康増進薬が販売されています。ポポンS、という名前の指定医薬部外品で、ドラッグストアでも購入できることから、気軽に飲む方も多いのですが、やはり糖尿病の危険性は誰にでもあるのが一般常識と言えるのです。糖尿病は、神経障害を引き起こします。結果として排尿障害も起こすため、尾骨も無関係とは言えません。

Patient tells the doctor about her health complaints

5)どんな対処法がある?痛みへの対処方法とは

尾骨の痛みを防ぐ方法は、たった一つしかありません。それはズバリ「健康体」で居続けることです。ここでいう健康体とは、病気にならないための体づくりを指します。食生活をバランスよくすること、肥満にならないこと、運動をすること、姿勢をよくすること、体を冷やさないこと、同じ姿勢で何時間も過ごさないことなど、当たり前のことですが、なかなか難しいのが現状でしょう。ただ、運動食生活がよい方向ならば、痛みはそれほど強くはならないのです。

6)尾骨の痛みがひどい場合に試したい検査・治療方法

尾骨の痛みは、整形外科に行くか整体院に行くか、という選択肢があります。ですが、できればペインクリニックに先に行くことが重要でしょう。ペインクリニックは痛みの元を探る医院です。できれば、1時間2時間と初診で時間をかけてくれるところを探し、原因を探ってもらいます。

結果、東洋医学がいいのか西洋医学がいいのか、CTでの検査か、などを調べてもらい、他の病院を紹介してもらう可能性もあります。尾骨の痛みがひどい場合、神経麻酔による治療がまず挙げられます。ですが、これは対処療法でしかなく、原因を探るために、様々な検査が大事になります。治療方法は診療科目によって大幅に変わります。

7)日常生活から改善を!尾骨の痛みへの予防習慣とは

尾骨の痛みの多くは尻餅で、というケースです。階段から落ちた、転んだ、冬道で滑った、など様々な方法で打撲は尾骨に衝撃を与えます。ですが、正確には、骨そのものではなく、脊椎がより重要となります。骨は骨密度の高さで、その硬さは維持できますが、骨と骨の間は、どんどん擦り減ってしまいます。

これを予防するには、体を作る元となる血液を丈夫にしておくこと。血液は酸素と栄養などを神経細胞に届けます。そして全身の血管を通して体を作り変えていきます。ですから、食生活と運動が新鮮な血液にもっとも重要であり、結果的に尾骨の痛みを予防することになるのです。



今回のまとめ

1)どんな痛みが現れる?尾骨の痛みの種類とは

2)なぜ痛みが?尾骨の痛みの3大原因

3)どんな症状が現れる?尾骨の痛みの症状とは

4)症状が続く場合に注意!考えられる3種類の病気とは

5)どんな対処法がある?痛みへの対処方法とは

6)尾骨の痛みがひどい場合に試したい検査・治療方法

7)日常生活から改善を!尾骨の痛みへの予防習慣とは