夜中気持ちよく眠っていると突然ふくらはぎに強烈な痛みがくる経験。この寝ている時に起こる通称こむら返りは、成人の三割が月に一回以上経験しているそうです。
実は病気の前兆の可能性もあるのです。今回はふくらはぎがつる原因や考えられる病気、対処方法をお伝えします。
目次
ふくらはぎがつる5大原因!6種類の対処法とは
1)ふくらはぎがつる2つの症状
(1)筋肉の痙攣
ふくらはぎがつる症状の大半は、筋肉の痙攣によって起こります。急激に強い痛みを感じるのが特徴です。
原因は、筋肉疲労、血行不良等さまざまです。それほど長く続くことはなく、通常数秒でおさまることが多いでしょう。
(2)肉離れ
ふくらはぎがつる状態が長く続く場合は、肉離れの疑いがあります。肉離れとは筋肉が急激に収縮し、筋肉の繊維が部分断裂または完全断裂した状態をいいます。
ふくらはぎがつるのは筋肉が痙攣するためですが、急激に収縮をした場合、肉離れになってしまうことがあります。
ひどくなると激痛が続き、自分では歩けなくなります。
2)ふくらはぎがつる5大原因
(1)筋肉の疲労
多くはこの筋肉の疲労によっておこります。(とくに激しい運動をした覚えはないけど)と思われるかもしれませんが、日常の疲れが積み重なったり、いつもと違う動きをしたり、そんなことが足がつる原因になることがあります。
筋肉は疲れるとゆるむものなのですが、過度の刺激が加わると収縮が強くなり、つる原因になります。
(2)筋肉の冷えによる血行不良
足は夏よりも冬の方がつりやすくなります。これは寒さで筋肉が収縮して緊張状態になり、血行不良が起こるためです。
夜中や朝方に足がつる人が多いのも、気温が下がることが原因と思われます。
(3)ミネラルの不足
運動などで大量の汗をかいた時や下痢、嘔吐などがきっかけで脱水状態になると体内のミネラルバランスが崩れます。
ミネラルバランスが崩れることを「電解質異常」といい、これが原因で神経や筋肉が興奮状態になり痙攣が起こります。
(4)神経系の反射異常
ふくらはぎは、大脳から発信された信号が脊椎中の神経系を通り、ふくらはぎに直結する末梢神経へ伝達され、初めて伸縮運動を起こします。
ところが時にその信号がふくらはぎ内の筋肉の一部にしか伝えられず、その部分のみが過度に収縮するという異常が起こることがあります。
(5)病気
閉塞性動脈硬化症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、糖尿病などが原因で起こることがあるので注意が必要です。
次は、その病気についてみてみましょう。
3)ふくらはぎがつる状態が続く場合に考えられる4つの病気
(1)閉塞性動脈硬化症
現在 700 万人の患者がいる閉塞性動脈硬化症は、下腹部の奥、両脚にわかれる動脈が硬化して詰まり、下肢に血液が流れにくくなる病気です。
脳卒中、心筋梗塞のきっかけになることもあります。最悪の場合は、足を切断することになります。
(2)脊椎管狭窄症
太腿から下がしびれたり、痛んだりするのが特徴です。脊椎管の中を通る脊椎や神経根への圧迫により、歩行困難や排尿、排便障害が出ることもあります。
(3)椎間板ヘルニア
飛び出した椎間板が神経を圧迫することにより、激しい痛みやしびれを引き起します。このため、腰から足先にかけてしびれや痛みを感じます。
(4)糖尿病
糖尿病でも足がつることがあります。糖尿病神経障害といい、運動神経が障害を受けることにより、動きが乱れ、筋肉
が異常収縮してしまいます。高血糖により血流が悪くなるのも原因と考えられています。
4)ふくらはぎがつる症状への6つの対処法
まずは症状を和らげるステップをご紹介します。
(1)筋肉を伸ばす
足がつっているのは、筋肉が縮んで伸びなくなっている状態です。まずは、縮んでいる筋肉を伸ばすようにしましょう。
この時、無理に伸ばすと肉離れを起こしてしまうことがありますので、ゆっくり伸ばすことが大切です。
筋肉の伸ばし方
つっている方の足の指を手でつかみ、足の裏をそるように自分の方へ指先をむけます。タオルなどを足の裏にあてて引っ張るようにすると、しっかりと筋肉を伸ばすことができます。
(2)マッサージする
少し落ち着いたら、ふくらはぎをマッサージします。血流を改善し、筋肉の緊張をほぐします。
マッサージの仕方
下から上へゆっくりとさするようにマッサージします。その後、軽くもんだり押したりして、筋肉の緊張をやわらげます。
この時、つい力が入りがちですが、血流をよくすること、かたくなった筋肉をほぐすことが目的ですので、痛みを感じない程度の力でやさしく行います。
(3)足首をゆっくりと回す
痛みがやわらいできたら、足首をゆっくりと回しましょう。筋肉の緊張をほぐすことができます。
(4)温める
症状がおさまったら、ふくらはぎを温めます。血液循環がよくなることにより、筋肉の収縮運動がスムーズになり、筋肉運動が正常になります。
ふくらはぎの温め方
眠ったことにより体温が下がり、筋肉が冷え、血行不良になったことが原因のことがあります。症状がおさまったら、温タオルをつくり、ふくらはぎを温めます。
(5)水分を補給する
足がつる原因の一つに、電解質バランスの乱れや水分不足があります。動けるようになったら、水分補給をするようにしましょう。
電解質バランスを整えるために、スポーツドリンクを飲むのもおススメです。
(6)ツボをおす
ふくらはぎがつった時に効果的なツボがあります。落ち着いたら、ツボを押してみるのもいいでしょう。
次にそれぞれのやり方をご紹介します。
・承山(しょうざん)
ふくらはぎの中央ライン上、膝裏と踵の真ん中あたりにあるツボです。
・承筋(しょうきん)
承山のツボより上方、ふくらはぎが最も盛り上がっている場所にあるツボです。
では、ツボの押し方をご紹介します。
1:つった方の足を逆の足の上に横にして乗せます。
2:始めに承山に両手の親指を揃えてもみこむようにゆっくりと約 1 分間
刺激します。(この時、コリコリとしたかたさを感じる時は、1 分間強めに、さらにもう 1 分間軽くもみこむと芯から血流がよくなります。)
3:承筋のツボを押します。
2 と同じように、ゆっくりと 1 分間ツボ押しをし、もみほぐします。
4:2 から 3 を数回繰り返します。
痛みがあるうちは、承山、承筋の辺りをなでるだけでもいいでしょう。
5)ふくらはぎがつる症状へ摂取すべき3つの栄養素
(1)カルシウム
ふくらはぎがつるのは、筋肉内の電解質バランスがくずれることが原因の一つと考えられています。
電解質というのは、水に溶けるとイオンになる物質のことです。
マグネシウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムなどがそれにあてはまります。カルシウムは筋肉を正常に収縮させるために大きな役割を担っています。
また神経の命令伝達をスムーズにする役目も持っています。そのため、カルシウムが不足するとふくらはぎがつるようになります。
その上、カルシウムは同じくイオンになる物質であるマグネシウムの働きを助ける作用もあるので、一緒に摂取するとより効果的です。
一日の必要摂取量の目安は、成人男性で 650~800 ㎎、成人女性で 600~650 ㎎です。カルシウムは乳製品や小魚、海藻類、野菜などいろいろな食品から摂取すること
ができますが、特に吸収率が高いのは乳製品です。カルシウム吸収率 小魚約 33% 野菜約 19% 牛乳約 40%
多く含む食材
乳製品 牛乳、チーズ、ヨーグルトなど
魚類 イワシ、煮干し、しらすなど
海藻類 ワカメ、ヒジキ
野菜 小松菜、ほうれん草など
豆類 木綿豆腐
おススメの食べ方
カルシウムを効率的に摂取するにはマグネシウムが必要です。理想の摂取量は、カルシウム2:マグネシウム1です。
カルシウムを過剰に摂るとマグネシウムの吸収が阻害されてしまいますので、この比率に注意して摂取するようにしましょう。
ミルクココアは、カルシウムとマグネシウムがバランスよく摂取できるのでおすすめです。
(2)マグネシウム
カルシウムと同様、筋肉の働きに大きな関係を持つミネラルです。筋肉をスムーズに収縮させるというカルシウムの働きを調整しているのがマグネシウムです。
そのため、マグネシウムが不足すると、筋肉の収縮がスムーズにおこなわれなくなり、ふくらはぎがつる原因になります。
一日の必要摂取量の目安は、成人男性で 310 ㎎、成人女性で 250 ㎎です。マグネシウムは野菜、豆類、魚介類、海藻類、種実類などに多く含まれます。
・多く含む食材
豆類 きな粉、大豆、油揚げ
魚類 イワシ、煮干し、しらすなど
海藻類 あおさ、ワカメ、ヒジキ
野菜 シソ、オクラ、パセリ
種実類 ごま、アーモンド、松の実
・おススメの食べ方
マグネシウムは多くの食品に含まれていますが、加工された食品は量が減少してしまいますので、できるだけ加工食品は避けましょう。
ちょっと小腹がすいた時などに、アーモンドをつまむのもいいかもしれません。
※下剤にも使用されているマグネシウムは、過剰摂取に気をつけましょう。
(3)ビタミンB1
ビタミンは B1 は糖質の代謝に関係し、筋肉、脳、中枢神経、末梢神経を正常に働かせるのに欠かせない栄養素です。
筋肉の収縮運動は脳から正常な指令が出てこそ、スムーズに行われます。指令を出すために必要不可欠なビタミン B1 は、ふくらはぎのつりの予防に欠かせない栄養素といえます。
一日の必要摂取量は、成人男性で 1.1~1.4㎎、成人女性で 0.8~1.1㎎です。ビタミン B1 を多く含む食材の代表には、豚肉、レバーがあげられます。
・多く含む食材
肉類 豚ひれ肉、生ハム、レバー
魚類 うなぎ、たらこ、けずりぶし
豆類 きな粉、グリンピース、大豆
・おススメの食べ方
ニンニク、ニラ、ネギ、玉ねぎに含まれる成分アリシンには、ビタミン B1 の吸収を助ける作用がありますので、これらと一緒に摂取するようにしましょう。
6)ふくらはぎがつる症状が気になる場合の検査方法
(1)病気が原因ではないと考えられる場合
ふくらはぎがつる原因の多くがこれにあてはまります。原因によってかかる科がかわってきますが、多くは筋肉疲労が原因と考えられます。まずは整形外科を受診しましょう。
一般的な検査方法は、触診、レントゲン、MRI、CT、血液検査、神経反射テストとなります。触診だけで原因がわかることもありますので、費用は人それぞれとなります。
一週間に一度以上の頻度で足がつる場合には、原因となる病気が潜んでいないか検査する必要があります。次はそれぞれの病気の検査方法をみていきましょう。
(2)病気が原因と考えられる場合
・閉塞性動脈硬化症
問診、視診、触診、上腕・足関節血圧比(ABPI)の測定、画像診断(超音波検査、血管造影、CT 血管造影、MR 血管造影)を行います。
※画像診断はそれぞれの長所、短所を見極め、適したものが行われます。
・脊椎管狭窄症
蓋腱とアキレス腱の反射検査、知覚検査、筋力検査、SLR テスト、画像検査(レントゲン、脊髄造影検査、サーモグラフィー、指先脈波検査、神経根造影・ブロックなどの検査を行います。
・椎間板ヘルニア
下肢伸展挙上(SLR)テスト、大腿神経伸展(FNS)テスト、神経学的診察(筋肉の力、痛みや温度などの感覚、腱をたたいて反応をみる腱反射)、レントゲン、MRI、CT などを行います。
7)ふくらはぎがつる症状への2つの治療方法
(1)外からの治療法
慢性的な筋肉疲労が原因の場合の治療法は、整形外科でのマッサージや鍼灸院での鍼治療があります。
鍼治療により血行が良くなり、筋肉中に溜まった乳酸などの老廃物が除去されやすくなるため、筋肉疲労が改善されます。
(2)中からの治療法
急激に起こる筋肉の痙攣に対して効果のある東洋医学の漢方薬や筋肉を緩める作用のある西洋医学の筋弛緩薬が処方されます。
8)ふくらはぎがつる症状へ未然にできる4つの予防ポイント
(1)食習慣
ふくらはぎがつる原因のひとつに電解質バランスの乱れがあります。電解質バランスを改善するには、水に溶けるとイオンになる物質である、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムをバランスよく摂る必要があります。
これらを多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう。
(2)生活習慣
身体の冷えもふくらはぎがつる原因になります。日頃から身体を温める生活を心がけましょう。
入浴もシャワーですませるのではなく、ぬるめのお風呂にゆっくりとつかるようにして身体を芯からあたためるようにしましょう。
(3)睡眠習慣
睡眠不足は、知らず知らずのうちに身体に疲れをためこみます。6時間以上の睡眠時間が理想的です。
睡眠中の冷えも原因になりますので、冬は湯たんぽを使用するなど身体を温める工夫をしましょう。
(4)運動習慣
足の筋肉を増やすことが予防につながります。運動の中でも、道具もいらず、どこでも気軽に行えるスクワットがおススメです。
スクワットは足の筋肉を鍛えるだけでなく、血流がよくなるので、予防に最適な運動といえます。
ただしやりすぎは逆に筋肉疲労を起こしますので、多くても一日 100 回程度にとどめるようにしましょう。
ふくらはぎがつる症状は、すぐに治まるといっても非常に辛いものです。日頃から食習慣や生活習慣に気をつけ、予防するようにしましょう。
この症状は、50 歳までに誰もが一度は経験するといわれるほど一般的なものですが、軽く見ているとその裏に潜む病気を見落としてしまいます。
一週間に一度以上起こるようになったら、病院を受診することも考えましょう。
今回のまとめ
1)ふくらはぎがつる2つの症状
2)ふくらはぎがつる5大原因
3)ふくらはぎがつる状態が続く場合考えられる4つの病気
4)ふくらはぎがつる症状への6つの対処法
5)ふくらはぎがつる症状へ摂取すべき3つの栄養素
6)ふくらはぎがつる症状が気になる場合の検査方法
7)ふくらはぎがつる症状への2つの治療方法
8)ふくらはぎがつる症状へ未然にできる4つの予防ポイント
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