ナースに問診を受ける男性の患者

腰痛は、誰でも経験する症状です。2010年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、全人口の32%が腰痛持ちである、とのこと。

国民病ともいえる腰痛ですが、座り方一つで痛みに変化が現れます。今回は腰痛への座り方についてご紹介します。



腰痛に効果的な3つの座り方!2つの予防方法


1)腰痛の人に共通する3つの座り方

腰痛には決まった 座り方 があります。まずは、その特徴を捉えましょう。

(1)同じ姿勢で座り続ける

2015年11月11日の NHK番組 クローズアップ現代 で、衝撃的なタイトルが話題になりました。ずばり 座りすぎが病を生む という内容だったのです。

オーストラリアで糖尿病や心臓病の研究を行う ネヴィル・オーウェン博士 によれば、座り続けることが脚の筋肉の動きを止めてしまい、結果として血流が悪くなることから、様々な病気への進行が始まる、というわけです。

つまり、腰痛は、こうした病気に掛かる前の サイン と言えるのです。

(2)前かがみで座る

パソコンを使う仕事や、長時間テレビを見る人の姿勢は、どうしても前傾、つまり前かがみになりがちです。

ヒトの頭は体重の10%から13%です。つまり、体重50kgの方は5kgから6.5kgあり、体重70kgの方ならば、7kgから9kg以上にもなるのです。

例えば、5kg、10kgの米袋を持ったとしましょう。そのまま全力で走ったり、階段を上るのは簡単ではありません。

つまり、ヒトは腰から2本の脚で力を分散させることで、頭の重さに耐えているのです。ところが、座っている場合は、荷重が背骨の一点に集中します。

そのため、頭の重さに耐え切れず、いつの間にか頭が前のめりになります。

沢井製薬は、腰痛について様々なデータを持っています。公式サイトには、腰椎間板にどのくらいの圧力が掛かるのかをイラストにしたものがあります。

立った状態で、腰に掛かる圧力を100とした場合、座った時は140。前かがみになった場合は、185にもなるのです。

それだけ、前傾での姿勢は、知らずしらずのうちに腰痛の原因となるわけです。

(3)脚を組んで片足を浮かせて座る

テレビ映りが良く見える椅子の座り方は、脚を組んで肘つき椅子にくつろぐ姿。アメリカでは大統領が海外の要人と会う際にも、こうした格好をよく取ります。

ところが、このような姿勢は、短時間ならではのものならば良いのですが、1時間2時間ともなれば、血流に過度な影響を与えるのは必至。

これと同じような状態を取り続けている職業が、タクシードライバーなのです。実は、ここ5年ほどの間に、タクシーやハイヤーはそのほとんどが、AT車に移行しています。

その前はタクシーと言えばクラッチでギヤを入れ替えるMT車が主流。AT車全盛になってから、ドライバーの腰痛が激増中なのです。

の理由は、右足一本でアクセルとブレーキを作動させてしまい、左足を使わないことにあります。

クラッチを踏む、左手でギヤチェンジをする、という両足両手をフルに使わないことが、結果として血流を悪くさせ、腰痛の原因となってきているのです。

2)腰痛の人がすべき2つの座り方

では、次に腰痛持ちの方がすべき、座り方の方法と、その理由を考えていきましょう。

(1)正座・あぐら・座布団に座る際の座り方

正座という姿勢は、腰に悪いのでしょうか。もしよくないならば、戦国時代の武将や僧侶、江戸時代に寺子屋で学んだ庶民の誰もが、腰痛になっていても不思議はありません。

ところが、実際には腰痛で戦に出られない武将や、法話を説く和尚が腰痛持ち、などという話はまずありません。なぜでしょうか。答えは、正座の独特な形にあります。

茶道では、座る立つという一連の動作がとても大事です。表千家、裏千家、武者小路千家のいずれも、正座の際は背筋を伸ばすことが作法です。

特に、茶室はわずか三畳間、四畳半間というごく狭い世界で、数百年間も続いてきました。それも高齢になっても坐れる、ということから、腰に負担のかけない座り方だということがわかるでしょう。

これに対し、あぐらは非常に難しい坐り方です。あぐら自体は脚を大きく広げることから、股関節の柔らかさに有効ですし、畳敷きの場所ではあぐらが一番楽、という方もいるでしょう。

ですが、あぐらの場合はどうしても背骨が前のめりになってしまいます。これが結果として腰痛に関係してしまいます。ですから、あぐらをかく場合は、ときどき背骨を伸ばすことが大事です。

腰が痛い方が座布団に座る場合、正座をしましょう。その際、まず立膝になり、座布団を挟むように腰を落とします。

つまり、床に直に脚が触れ、座布団を脚と腰で挟み込むようにします。こうすれば、背骨もすっと立って楽になります。

(2)椅子に座るときの注意

椅子に座る習慣になっている現代社会では、自宅の椅子や職場の椅子、公共の場での椅子、と様々な椅子に腰掛けるケースが増えています。

椅子、とはいっても一言では尽くせないほど様々なものが世の中にあります。

北欧の家具が好きな方、アメリカのゆったりしたソファーの好きな方、椅子は実はその国の人たちの使いやすさに合わせて選ばなければなりません。

腰痛の方の場合、椅子に腰掛けるときは、その座面よりも腰に当たる部分に硬いクッションなどを置いて、綺麗なS字の脊椎の姿勢を保たれるようにすれば、良いのです。

Stethoscope with stack of books on wooden background. Medical literature concept

3)腰痛の人がすべき座り方のポイント

(1)血流改善

座る場合、男性ならば股が開くことが可能な椅子、時々両足を伸ばせるような座り方をするのが一番です。理由は、血流を良くさせること。

女性の場合、椅子の座面全てに腰掛けず、前半分程度に軽く座り、背筋を伸ばす。できれば、ヒールの高い靴は脱いで、かかとの低い室内履きでオフィスワークするのが大事です。

(2)冷えに注意

そして、脚を冷やさないこと。一番良くないのは、エコノミークラス症候群と呼ばれる、体の固定化です。

エコノミークラス症候群は、もともと航空機内の座席に座っていることで、血流が悪くなる症状を言いますが、航空機の座席自体は、スポーツカーの座席で有名な、ドイツのレカロ社がその多くを納めており、椅子自体に問題があるわけではありません。

ただ、椅子は人によって異なる体型を、ひとつの形で完全にフィットさせることは不可能です。ですので、座っては立ち、立っては座るという動作を繰り返すのが大事なのです。

4)腰痛予防に効果的な座椅子

(1)座って何の作業を行うのか

椅子を選ぶ際、大事なことは、座って何をするのか、ということです。食卓テーブルは、大概72cm高さになっており、椅子もこれに準じています。

ですが、人の座高と脚の長さ、手の長さはサイズがバラバラです。食卓の場合は、食事をすることがメインですから、箸やフォーク、スプーンを持ち、茶碗やグラスで飲み物を、あるいは小皿を手にとって、という風に、手を動かします。

ですが、本を読む、勉強をする、パソコンで作業をする、絵を描く、といった集中力を使うための椅子の場合、自分の体に合ったものを求めましょう。

それは、背もたれが余り寝ていないもの、座面が柔らかすぎないもの、座って脚の裏がしっかり床に着く高さのもの。肘掛けがある場合は、自分の肘が直角になり、手が載っているのが良いのです。

(2)日本製品がおすすめ

できれば、日本のメーカーが良いでしょう。その理由は、日本人の体型に合わせて作られているからです。

ドイツやスウェーデンの家具がいい、という方がいらっしゃいますが、モノは良くても寸法が合わなければ、どうしようもないのです。

Doctor and surgeon reading notes

5)腰痛改善に効果的な椅子

ここでは、高機能椅子として評価の高い椅子をひとつだけ、参考に選んでみます。

コクヨ株式会社 AGATA A 

座面はジェルになっており、体重移動にも耐え、圧力が分散されます。また、背もたれは背骨の形状に合わせてセッティングできます。 値段は一脚 13.5万円程度です。

6)腰痛改善に効果的なグッズ

腰痛予防に関しては、まずは背骨のS字にフィットするようなクッションなどを背中に置くなどするのが、まずは簡単な改善方法です。

ですが、改善方法を考える前に、自分の体がどうなっているのかをしっかりと確認するのが一番です。鏡で、自分の立ち姿や座り姿を見てみましょう。

そうした中で、緊張感を持って背を伸ばす座り方が継続できる方法を取ることです。

7)日常生活から腰痛予防のポイント

(1)腹筋運動

腰痛予防は様々な座り方にヒントがあります。ですが、姿勢の良さを保つには、腹筋を鍛えることが大事になります。

腹筋を鍛える理由は2つ、ひとつめは、骨盤に過重がかからない程度の体重にしなければならないためです。つまり、メタボにならないように、骨盤を鍛えることが大事なのです。

もうひとつは、腹筋を鍛えることで、腰回りの筋肉で上半身をしっかりと姿勢良く保つようになるからです。

(2)背筋を伸ばす

腰痛が起こる理由は、まっすぐ立つことができていないことが始まりです。背筋が伸びないことで、様々な神経が脊椎の曲がりに沿って、あちこちに干渉する可能性が出てきます。

そうなると、加齢によって骨や椎間板が痩せ、身体中が痛みを伴います。姿勢を良くしておけば、神経もどこにも触れずに痛みも伴いません。

大事なことは、体に緊張感を持って立ったり座ったりする癖をつけることです。



今回のまとめ

1)腰痛の人に共通する3つの座り方

2)腰痛の人がすべき2つの座り方とは

3)腰痛の人がすべき座り方のポイント

4)腰痛予防に効果的な座椅子

5)腰痛改善に効果的な椅子

6)腰痛改善に効果的なグッズ

7)日常生活から腰痛予防のポイント