足の指の診断を行う医師

足の指がしびれたくらい、たいしたことではないと思っていませんか?実はそのしびれが命にかかわる深刻な病気の前兆である場合もあるのです。

そこで今回は、足の指のしびれの原因や考えられる病気、またその対処法や予防法について解説します。



足の指のしびれの3大原因!病気の可能性とは


1)足の指のしびれ方による違いと2つの種類

一口に足の指がしびれると言っても、様々な症状があります。

最初は足先の冷感やしびれが始まり、その後、歩行の際に足の痛みを生じるものや、「ぴりぴり」「じんじん」といった痛みやしびれを感じていた場所の感覚がだんだん鈍くなっていく場合。

また、数分から数時間しびれていた所が、すぐによくなってしまうケースもあります。しかし、良くなったからと言って、決して安心してはいけません。それが深刻な病気のシグナルである場合もあるからです。

足の指がしびれる原因は、ホルモンや精神的な要因などもありますが、大きく分けて「神経性」のものと「血管性」のものに分かれます。

おおまかに言って、神経系の障害で起こるしびれは、安静時にも起こりやすいのに対して、血流障害が原因の場合は運動の際にしびれやすい特徴があります。

2)足の指のしびれの4つの症状

足の指のしびれ方とその後の変化には大きくわけて4つの症状があります。

(1)冷感、しびれ→間欠性跛行→潰瘍化→壊死

(2)短時間のしびれ→軽快→脳梗塞発作

(3)しびれと痛み→感覚の鈍化→壊死

(4)神経圧迫によるしびれと痛み

3)足の指のしびれの3大原因

「血管性」のしびれを引き起こす代表的な要因が「動脈硬化」、「神経性」のしびれを発症させるのが「神経の圧迫」、そして「糖尿病」は血管と神経そのどちらをも蝕んでいきます。

(1) 動脈硬化

高血圧や高血糖などの状態が続くと血管の内壁が傷つき、血管の壁が厚くなることによって、動脈硬化が起こります。

その影響は体の末端に行くに従って大きくなり、足先の血流が障害されて足の指のしびれに繋がります。

(2) 神経の圧迫

椎間板ヘルニアや外反母趾のように長年にわたって、体の一部分に負荷が加わった状態が続くと、その部分が変形して神経を圧迫し、足の指にしびれや痛みがでます。

(3) 糖尿病

糖尿病では高血糖により末端部の毛細血管が障害されることに加え、代謝障害が原因で、末梢神経も侵されます。

その結果、足の指がしびれ、最悪の場合、壊死を起こして、足の切断を余儀なくされることもあります。

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4)足の指のしびれへ自分できる3つの対処法

動脈硬化や神経の障害が出ているようなケースは、深刻な病気につながりますので、原因がはっきりしない場合は、素人判断をせず一刻も早く受診して下さい。

それ以外の場合は、以下の対策を試してみて下さい。

(1)自分の足にあった靴を選ぶ

ファッション性でなく、自分の足にあった靴を選びましょう。

(2)姿勢を良くする

普段の姿勢の悪さが椎間板ヘルニアなどを引き起こし、足先のしびれの原因になっている可能性があります。ドローイン(お腹をへこます運動)などをして、良い姿勢を保つために必要な筋肉を鍛えましょう。

(3) 血流をよくする

血流をよくすることでしびれがおさまる場合があります。ストレッチやお風呂で血行をよくしましょう。またマッサージやツボ押し、温める行為も血流の改善に効果的です。

血流の改善を試みても痛みが変わらない場合は神経痛や、病気の可能性が高いと考えられます。

5)足の指のしびれから考えられる6種類の病気

足の指がしびれる場合、以下のような病気が考えられます。

(1)バージャー病

手足の動脈が閉塞して虚血症状(血液が供給されない低酸素状態)が発生します。

足先の冷感やしびれに始まり、間欠性跛行や激しい痛みを生じたり、潰瘍を形成して、ついには壊死に陥ることもあります。主に20~40代の喫煙者にみられます。

(2)閉塞性動脈硬化症

症状はバージャー病と似ていて区別することが困難です。只、生活習慣病や加齢による原因が多く、50代以上の男性に多くみられます。

(3) 一過性脳虚血発作(脳梗塞の前兆)

数分から数時間続いたしびれが消失する場合があります。これは動脈硬化によって、一時的に脳の血管で血流が滞り、その後回復した時の症状です。

脳梗塞の前ぶれである可能性が高く、直ちに精密検査を受ける必要があります。

(4)糖尿病性ニューロパチー

はじめは足の指や足の裏に「ぴりぴり」「じんじん」といった痛みやしびれが生じ、進行すると手指にも痛みやしびれがあらわれます。

さらに神経障害が進行すると、感覚が鈍くなったり感じなくなったりします。足に傷を負っても気づきにくく、そこから細菌に感染して細胞が壊死してしまい、最悪の場合、切断を余儀なくされることもあります。

(5)モートン病

個人差はありますが、第3趾と4趾の向かい合う側のしびれ、疼痛などの症状がでます。

中腰の作業やハイヒールの常用など、つま先立ちをする格好が長時間続くと起こりやすくなります。中年以降の女性に多く発症します。

(6)椎間板ヘルニア

腰痛から始まり、徐々に片側の足に痛みやしびれが広がります。太ももから足にかけて電気が流れるようなしびれ、痛みを感じるのが特徴で、重いものを持ったり力を入れると痛みが強くなります。

6)足の指のしびれが続く場合にすべき7つの検査方法

動脈硬化が疑われる場合には以下のような検査があります。内科、神経内科、循環器科などを受診しましょう。

(1)血管造影

カテーテルでヨードの入った造影剤を注入し、エックス線をあてて動脈の形態を調べる検査。バージャー病、閉塞性動脈硬化症の診断に用いられます。

(2)足関節上腕血圧比(ABI)測定

足関節の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧で割った値が低い場合、心臓と足関節との間の動脈が狭くなっているか、または閉塞性動脈硬化症が起きている可能性が高いです。

ABIが1.0以上の場合は正常ですが、0.9以下であれば足の動脈に病変があると断定できます。

(3)頭部MRI検査

脳の血管につまりがあるかどうか確認します。脳梗塞の診断に用いられます。

(4)頸部血管超音波検査

頸動脈の血流の流れを検査します。動脈硬化の進行度の診断に用いられます。

糖尿病の可能性がある場合は以下の検査が必要です。糖質制限に理解のある、内科、糖尿病医を受診することが極めて重要です。

(5)血液検査

血糖値、HbA1cが基準値より高ければ、糖尿病と診断されます。神経の圧迫によるしびれの場合、以下の検査が行われます。整形外科を受診しましょう。

(6)X線検査

触診に加え、X線検査をすることでモートン病を確定できます。

(7)MRI

椎間板ヘルニアの診断に用いられます。

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7)足の指のしびれが続く場合にすべき6つの治療法

足のしびれが続く場合には、その原因疾患により、次のような治療がおこなわれます。

(1) 生活習慣指導(禁煙、血糖コントロール)

バージャー病患者のほとんどが喫煙者であり、禁煙が最も重要な治療になります。

また、糖尿病の場合、高血糖の予防が必要ですが、高糖質の食事をしてインスリンを使うのではなく、糖質を減らして食後高血糖を起こさないことが重要です。

(2) 運動療法

バージャー病、閉塞性動脈硬化症などでは無理のない距離を歩くことで血液の流れが改善します。

(3) 薬物治療

脳梗塞の場合、血栓を溶かす薬、血液をかたまり難くする薬などが用いられます。また、閉塞性動脈硬化症では、血管拡張薬も使われます。

(4) 血管内治療

脳梗塞発症後8時間以内では、カテーテルという細いビニールの管を足の血管から挿入して、脳血管内の血栓を溶解したり、回収したりして、閉塞した脳血管を再開通させる方法があります。

(5) 血行再建術

動脈硬化系の疾患で、運動療法や薬物療法で十分な効果が得られなかった場合に、血行をよくするために行われます。カテーテル治療とバイパス手術とがあります。

(6)手術

神経の圧迫が原因の疾患で、保存的治療で効果が見られない場合、手術を行うこともあります。

8)足の指のしびれへ未然にできる3つの予防ポイント

これまで見てきたように、足のしびれの原因となっているのは「動脈硬化」「糖尿病」「神経の圧迫」でした。

ですから、それらの要因を取り除くことが予防のポイントになります。

(1) 禁煙

たばこに含まれるニコチンが副腎を刺激し血圧を上げるホルモンが分泌されるだけでなく、交感神経も興奮させるために血圧が上がります。高血圧は動脈硬化の大きな要因ですから、喫煙によって動脈硬化は進行します。

また、喫煙は活性酸素を大量に発生させ、血管内の酸化ストレスを高め、動脈硬化を助長します。このため、禁煙するだけで動脈硬化の大きなリスクを取り除くことができます。

(2) 糖質の摂取を減らす

糖質を制限することで糖尿病のリスクを減らすことができます。と同時に、糖尿病は動脈硬化の危険因子でもあるので、動脈硬化の進行を抑えることにもなります。

(3) 体の一部分に過度な負担をかけない

毎日日常的に行う動きの中で、身体の一部に過剰な負荷がかかっている場合は、いずれ何らかの症状として現れます。

自分の足に合わない靴を履いたり、無理な姿勢を強いられる仕事をつづけるなど、余計なストレスの加わる習慣はやめましょう。



今回のまとめ

1)足の指のしびれは「神経性」と「血管性」に大別されます。

2)足の指のしびれ方の変化が、その原因を示唆しています。

3)足の指のしびれの3大原因は、「動脈硬化」「神経の圧迫」「糖尿病」です。

4)しびれの原因がはっきりしない場合は、一刻も早く受診しましょう。

5)足の指のしびれの原因として6つの代表的な病気があります。

6)動脈硬化系の疾患は一刻を争う場合があります。速やかに適切な検査を受けましょう。

7)脳梗塞の治療では、発症からの時間で受けられる治療が変わってきます。迅速な対処が必要です。

8)日常の生活習慣から体に負担をかけている要因を取り除きましょう。