膝の治療を行う医師

高齢化や便利な乗り物が増え、運動不足の人が増えたことに伴い、現代人は昔の人よりも脚の筋力が落ちているといわれています。そのせいか、脚の痛みを感じる人も多くいます。

今回は膝の痛みが内側に現れる原因と対処法、治療法や予防法についてもご紹介いたします。



膝の痛みが内側に現れる6大原因!病気の可能性とは


1)膝の痛みが内側に現れる6つの代表的症状

(1)痛み

怪我や細菌による炎症

(2)腫れ

怪我や細菌による炎症、骨肉腫

(3)発赤/熱を持つ

細菌による炎症、骨肉腫

(4)膝の異音

半月板や軟骨のすり減り、滑膜の障害

(5)膝のひっかかり/こわばり

半月板や軟骨のすり減り、滑膜の障害

(6)機能障害

靭帯や半月板の損傷

2)膝の痛みが内側に現れる6大原因

(1)膝に負担をかける職業の人

肉体労働や立ったり座ったりすることが多い、階段を頻繁に上り下りする、重い物の上げ下ろしをする職業は膝に負担がかかるため、膝を傷めやすい傾向にあります

(2)スポーツ選手

スキーやサッカー、ジャンパーなどスポーツ選手は繰り返し同じ動作をすることで膝に負担がかかります。また、プレーに熱中するあまり無理な体勢をとることで膝を傷めることがあります。

(3)肥満の人

歩行時に人は膝に体重の0.5倍の体重をかけています。また、走る時や階段の上り下りの時には歩行時の7倍の体重がかかり、膝の負担が大きいことがわかります。

(4)加齢

中高年になると筋重量や筋力が低下してきます。特に大腿部やふくらはぎの筋力が委縮して衰え、同時に筋肉と神経の連携もスムーズにいかなくなります。

(5)O脚

体重による負荷やさまざまな動作からくる荷量がO脚の場合内側にかかります。そのため、O脚の人は膝の内側を傷めやすくなります。

(6)病気

全身の病気が原因で膝が痛くなることがあります。代表的な病気は膠原病、痛風、結核性関節炎などです。

Closeup on concerned medical doctor woman sitting in office

3)膝の痛みが内側に現れる場合に考えられる8つの病気

(1)膝関節捻挫

症状は膝の痛み、関節の腫れ、膝の不安定性です。

膝の内側の痛みは内側側副靭帯の損傷によるものです。この靭帯は外側からの大きな外力により損傷します。

(2)鵞足炎

鵞足とは内側側副靭帯の表面にある3つの腱の総称です。

症状は運動後に現れることが多いですが、ごく初期にはランニングやジャンプをすると膝の内側に痛みを感じます。進行すると歩行時にも痛みを感じ、感膝関節を伸ばすことが困難になります。

原因は運動していない人が急にランニングを始めたり、準備運動をせずにスポーツをする、またはスポーツをしている人が練習のしすぎなど、機械的ストレスです。

(3)タナ障害

タナは膝関節の内にある関節腔を仕切る滑膜ヒダのことです。

症状は膝の内側を押すと痛い、膝の動かし始めに痛みがあり安静時もジンジン痛い、引っかかるような感じ、バキッ・ポキッなどの音がする、重たい感じなど。

原因は屈伸運動の多いスポーツをすると、大腿骨と膝蓋骨の間にあるタナに繰り返し刺激が加わりタナが肥厚したり、裂けて炎症がおこります。

(4)半月板損傷

半月板に亀裂が入っても無症状または、痛みだけです。ひねり方が強く亀裂が進行すると膝でコリッという音がする、膝に水がたまる、半月板が挟まって膝が伸びないという症状が現われます。

体重がのった状態でひねる、または膝への衝撃により損傷したり、前十字靭帯損傷と合併しておこる場合があります。

(5)変形性膝関節症

症状は、初期にみられる運動した翌日に痛む、こわばりやひっかかり感、歩き始めや立ち上がりの痛み、腫れや熱っぽくなり、中期症状の階段の上り下りや正座がしにくくなる、動かすとガリガリ音がしたり曲げ伸ばしがしにくくなり、疲れやすくなります。末期症状になると安静時や夜間にも痛むようになります。

これらの症状は、長年の負担や半月板損傷などの怪我で関節軟骨や半月板がすり減り、本来膝の滑らかな動きやクッション性、安定性を保つ役割である関節軟骨や半月板の動きが悪くなることによりおこります。

(6)関節水腫

軟骨がすり減って滑膜が炎症をおこすと関節液が増えて、膝に水がたまった状態になります。関節液は正常なら1~3mlですが、炎症が強いと20~30ml、もしくはそれ以上に増え、膝が張っている感じや曲げにくさが現れます。周囲の神経が圧迫されると痛みを感じたり、関節包が圧迫の刺激で固くなり、膝の動きが制限されることもあります。

(7)特発性骨壊死

症状は初めに関節の痛みや腫れ、発熱、悪寒、だるさが現われ、治療せずに放置すると関節の軟骨や骨が破壊されます。

どの関節にもおこりますが、1番多く発症するのが膝です。

特発性骨壊死は関節の怪我や扁桃炎、膀胱炎などから細菌が血液により運ばれ、膝で増殖して発症します。

(8)骨肉腫

運動時に軽い痛みを感じたり、腫れや熱を持つといった症状が現われます。骨肉腫の発生個所は膝関節が70%といわれ、発症の原因は不明です。

4)膝の内側の痛みへの5つの対処法

(1)急性の痛みは冷やす

急な強い痛み、腫れや熱感のある痛みは冷やしましょう。血管を収縮させることで炎症が鎮まり、痛みが緩和します。

冷たいタオルや氷嚢、保冷剤などで冷やして病院へ行きましょう。

(2)慢性的な痛みは温める

慢性的な痛みが続く場合は温熱療法が効果的です。湯船につかって温まるのが一番簡単な温熱療法です。入浴後に軽いストレッチを行うとさらに効果的です。

また、普段から膝を冷やさないように工夫をしましょう。

(3)良い姿勢を心がける

普通に生活しているだけで膝に負荷がかかります。正しい姿勢で立つ、座る、歩くようにしましょう。

(4)水中ウオーキング

膝が痛いからと運動しないと筋力が落ち、歩けなくなってしまいます。水中では膝関節や筋肉の負担も軽くなりますので、おすすめです。

前方向へのウオーキングだけでなく、後ろ歩きも加えると効果的です。

(5)洋式の生活にする

和式だとしゃがんでそこから立ち上がる動作が多く発生します。膝に負担がかからない洋式の生活へ切り替えることも考えましょう。

doctor with male patient

5)膝の内側の痛みが気になる場合の5つの検査法

膝の痛みを診てくれるのは整形外科です。ここでは整形外科で行う一般的な膝の検査法についてご紹介いたします。

(1)視診

・脚の形がX脚かO脚か、その程度の確認

・歩き方で膝のぐらつき、膝の伸び、歩幅などを確認

(2)触診・理学的検査

・膝を触って腫れや熱っぽさの有無、水がたまっていないか、痛む箇所の確認

・筋力の確認

・膝の可動域、異音の有無、靭帯のゆるみ具合、動かしたときの痛み

(3)画像検査

単純X線/MRI検査/CT検査

正面や側面から膝を撮影し、膝関節の状態を調べます。骨と骨の隙間の具合や骨棘や骨のう胞の有無を確認します。

単純X線でも病態を把握できますが、詳しい病態把握のためにMRIやCT検査を行うこともあります。

(4)血液検査・尿検査

関節リウマチや痛風、他の全身疾患がないか調べます。

(5)関節液検査

必要に応じて関節液を採取して炎症や感染、出血がないか調べます。

6)検査後の8つの疾患への治療法

(1)膝関節捻挫

軽症の場合は非ステロイド系消炎鎮痛薬の服用と、患部をギプスや内側側副靭帯用サポーターで固定します。

十字靭帯損傷を合併している場合や重症の場合は、靭帯縫合術や靭帯再建術の手術を行います。

(2)鵞足炎

アイシングとテーピングを行い安静にした後、足底板療法を試すこともあります。

治療法としては他に、効果の期待できる方法としてステロイド薬の局所注射がありますが、スポーツ選手の場合ドーピング陽性や腱の断裂をおこしやすいので、すすめられません。

なお、鵞足炎に脛骨の外骨種を伴う場合は外骨種の切除を行います。

(3)タナ障害

安静のうえ、薬物療法として非ステロイド系消炎鎮痛薬の服用や塗り薬、貼り薬で痛みと炎症を抑えます。

また、理学療法と運動療法を行います。

ただし、これらの治療効果が現われない場合や、他の組織にまで影響が出ている時には「関節鏡視下滑膜ヒダ切除術」を行います。

(4)半月板損傷

軽症の場合は運動療法や、装具療法、関節内注射などを行います。重症の場合は関節鏡下半月板切除術や修復術の手術を行います。

(5)変形性膝関節症

変形性膝関節症の治療は保存療法を行い効果がない場合、手術(外科)療法に切り替えます。

<保存療法>

・生活改善

膝への負担が少ない生活方法に切り替え、肥満傾向の人は減量を行います。

・理学療法

膝のストレッチングと筋量増加、全身の有酸素運動を指導します。また、理学療法や装具療法で膝の負担を減らします。

・薬物療法

アセトアミノフェン配合薬やCOX-2阻害薬、オピオイド鎮痛薬などの服用薬、塗り薬や貼り薬、非ステロイド系消炎鎮痛薬の座薬で痛みや炎症を抑えます。

・関節注射

詳細は関節水腫の治療法をご参照ください。

<手術療法>

・関節鏡下手術

軟骨の傷ついた部分を削るなどして、軟骨の形を整えます。

・高位脛骨骨切り術

O脚を矯正する手術です。

・人口膝関節置換術

人工関節に置き換える手術です。

(6)関節水腫

注射器で膝にたまった水を抜きます。その後ヒアルロン酸やステロイド薬を関節に直接注入して症状を抑えます。より効果を出すには炎症を鎮める必要があるため、薬物療法で炎症を抑えてから行います。

(7)特発性骨壊死

基本は変形性膝関節症と同じ薬物療法で痛みや炎症を抑えた後、大腿四頭筋を鍛える運動療法を行います。

骨の壊死が進んでいる場合は、変形性膝関節症と同様の手術が検討されます。

(8)骨肉腫

骨肉腫は転移しやすいため、初めに抗がん剤を投与して病状の悪化を防ぎ、がんを小さくします。その効果を見極めたうえで、悪性腫瘍を切除する手術を行います。

腫瘍が大きい場合には、骨や血管、神経ごと取り除き、後で人口関節や人工骨を再建します。

Male medicine doctor hand holding stethoscope head

7)膝の内側の痛みへの未然にできる3つの予防ポイント

(1)肥満気味の人はダイエット

食事抜きダイエットではなく、3食栄養バランス良く食べ、有酸素運動をして脚に筋力をつけながら、ダイエットをすると膝の負担を減らしながらダイエットをすることができます。

(2)膝に効く6大栄養素を摂る

これらの栄養素を積極的に摂れる食事を1日3食しっかり食べましょう。

・カルシウム

・タンパク質

・ビタミンD

・マグネシウム

・ビタミンC

・ビタミンK

(3)膝のストレッチ

これからご紹介するストレッチを左右1日10回以上行いましょう。痛みがある場合は無理をしないように注意してください。

・膝を伸ばすストレッチ

床に脚を伸ばして座り、両手で上半身を支えます。脚は肩幅ぐらいに開き、右脚の膝を曲げ、左脚の膝の少し上に右の足首を置き、自然に左脚の膝を伸ばして20秒キープ。終わったら左右を反対にして行います。

・内ももを伸ばすストレッチ

床に座り足の裏を合わせます。かかとをなるべく身体に近づけます。手のひらで足の甲を押さえ、肘を使ってゆっくり脚を広げます。この時反動をつけないようにし、息をしながら肘で20秒押します。

・太ももとお尻を伸ばすストレッチ

床に仰向けに寝て両足を伸ばします。右脚の膝を抱えゆっくり胸に引き寄せて息をしながら20秒キープ。終わったら左も同じように行います。



今回のまとめ

1)膝の痛みが内側に現れる症状は痛み、腫れ、熱を持つ、膝の異音、機能障害など

2)膝の痛みが内側に現れる原因は膝を使う仕事、スポーツ、肥満、加齢、O脚、病気

3)膝の痛みが内側に現れる病気は捻挫、鵞足炎、タナ障害、変形性膝関節症など

4)膝の内側の痛みへの対処法は冷やす、温める、良い姿勢、水中ウオーキング

5)膝の内側の痛みが気になる場合の検査法は視診、触診、画像検査など

6)検査後の治療法は薬物療法と運動療法、装具療法が基本

7)膝の内側の痛みへの未然にできる予防ポイントは栄養バランスのとれた食事とストレッチで膝に負担をかけないようにする